僕をよく知っている人はご存知だとはおもいますけど、僕はLeconteのファンです。一番すきなLE MARI DE LA COIFFEUSE。邦題は髪結いの亭主です。まだ、見たことない人はぜひ一度見てください。とてもおもしろいですよ。
その映画の中で、僕が一番印象にのこってるシーンはラストシーン。妻を自殺で亡くし、残された主人公のアントワーヌがヘアカットの客の前で踊りを踊るシーンです。
みたことのない方はいったいどんなシーンなのか想像もできないとおもうので、ちょっとだけ補足すると、、、
アントワーヌはその妻マチルドと幸せな生活を送っていましたが、ある日突然、マチルドは自殺してしまいます。遺書には"あなたとのこの幸せな日々は永遠には続かない。だから今ある幸せを胸に人生を終わりたい。自分勝手なわがままでごめんなさい"ってなことがかかれてるわけです。正確にはあんまり覚えてないので、ひょっとかしたら間違ってるか知れませんけど、だいたいこんなようなことが書かれてあったと想います。
その後に続くラストシーン。理髪店に客はいず、ただ亭主がソファにすわっています。そこへ客がはいってきて、理髪席にすわり、マチルドを待ちます。亭主はマチルドは出かけてる、と客につたえます
しばらく沈黙のあと、亭主は突然、得意だった、あの有名な!あやしげな踊りを客に披露しはじめます。客がそれをみてよろこんでいるところで映画は終了します。
このシーン。どう解釈するかは人それぞれです。Leconteがどう考えこのシーンを作ったのか、私は知りません。
僕にはこのシーン、アントワーヌは目の前にあるあまりに残酷すぎる現実を前に、踊るしかない、そんな風にみえました。
アントワーヌにとって妻との生活は彼のすべて。それを亡くした彼には絶望しかのこってなかったんじゃないか。でもその妻が命をたった理由は皮肉にも彼との幸せな生活を、彼女の中で"永遠"のものにするための"わがまま"。
もう、彼には生きていくための希望もなく、ただただ日々をすごし、時間が過ぎるのを待つ生活。そんな生活だったんじゃないか。
そんなとき、人はどうするんだろう、あまりに、あまりに残酷すぎる現実を前に自ら道化師を演じる、そんなことしかできなかったのではないか。
この最後のシーンはオーディエンスに不思議な印象を残します。そしてこの映画そのものを"喜劇"としてなりたたせてるのかなと、おもうわけです。。。
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