LORANの日記
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日本ほど戸籍が完備した国は少ないと言われています。 江戸時代、1671年、キリスト教弾圧のために考え出された「宗門人別帳」が基本となって、 明治初年に新政府が「戸籍法」を制定しました。明治5年、初の全国戸籍調査が実施され、 総人口は3,311万人と発表されました。これを「壬申戸籍」と呼んでいます。
この時代まで無戸籍の人々がいました。 町や村に定住していない人々でした。 それらの人々は、主に山間部で生活していました。
その中でも、集団で暮らしていた人々と家族だけで暮らしていた人々がいました。 集団で暮らしていた人々を、「山の民」と呼び、木地屋・タタラ者とも呼びました。 一方、家族だけで個人的に生きてきた人々を「サンカ」と呼びました。 「山家」「三家」「山窩」という字を当てています。
「サンカ」の起源は定かではなく、江戸時代の三大飢饉(天保・享保・天明)のとき、飢餓に苦しんで山に入って生き延びた百姓の末裔ではないかと言われています。
第2次大戦後の1950年代を最後に、その姿を見た者はいないようです。 彼らは、被差別部落へ同化したと考えられています。
「サンカ」は戸籍が無く、国民の義務である「納税・義務教育・徴兵(戦後は参政権)」の枠外に存在していました。 川魚採りや竹製用具の製造・修理が主な生業であったようです。
歴史の外にいたので、その足跡は殆ど残っていません。
この窮屈な日本にも、つい半世紀前までこのように自由な人々が存在していたことが不思議に思われます。
(参考書籍) 「幻の漂泊民・サンカ」 沖浦 和光著 文芸春秋 「風の王国」 五木 寛之著 新潮社
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