力が欲しい。強くなりたい。 少し前までずっとそんなことを考えていた。 ふと気付くと、そんな思いが消えていた。
強がっているように見えると言われたことがある。 寂しがっているように見えると言われたことがある。 頼れるように思えると言われたこともある。 冗談混じりに怖いと言われる。
今、そんな言葉たちが浮いている。 少し前まで、確実に自分のコトだったはずの言葉たち。 自分で自分に突きつけていた言葉たち。
力が欲しい。強くなりたい。 力がないから。強くないから。 誰かを救えるような―――自分を、救えるような力が。強さが。
欲しかった。
他人は自分の鏡。 他人への思いは自分への思いの裏返し。
助けて欲しかった訳じゃない。 でも助けて欲しいと言いたかった。 そして助けて欲しいと言えなかった。
何がそんなに怖いのか分からなかった。 自分が何を怖がっているのか分からなかった。
今でも分からない。
もう、強くなりたいとは思っていない。 助けて欲しいと言えなくて苦しくなることもない。
―――一体自分は何を得て、何を無くしたんだろう?
何が怖かったんだろう?
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