インターネットは世界と繋がっている。それは嘘ではない。 けれど、それはインターネットでなくても同じ事だ。 道を歩き、船に乗り、ただひたすら進めば、やはり世界にたどり着けるのだ。 この箱の中に、世界の全てがあるわけじゃない。
そんなコトを悟るのに、実に3年以上かかってしまった。
初めてネットに入ってから4年以上経った。 きっかけはたわいもないこと。 親にせがんでパソコンとモデムを買ってもらった。 右も左も全く分からず、HPを巡り、いろんな人に出会い助けてもらい、迷惑をかけ、掲示板に書き込み、人様の日記を読み、チャットをし、HPを開いた。 その頃出会った人々を、忘れはしないだろう。 けれども沢山の人々と、連絡が絶えて久しい。 それでも何人かの人は、今でも大切な仲間だ。
そしてあれから長い時間の中で、凄く沢山の人達と出会った。 顔も知らない、声も知らない人もいれば、付き合った人もいる。
そんな中で実感として。
インターネットは単に道端と一緒だ。 気が遠くなるほど沢山の人々が行き交う中で、自分が歩いて、居るだけだ。 話をするのはほんの数人。 同じ物に目を留めて、同じ所にふと立ち止まった人達。 大声で喚けば立ち止まる人も増える。 頑張ってチラシを配ればわざわざ立ち寄ってくれる人もいる。 それでも通り過ぎてく人もいる。 ひっそりと落書きを置いておいただけでも、目を留めて立ち止まってくれる人もいる。
ただ、それだけ。
何も、特別なコトじゃない。 自分も、特別なトコロにいるわけじゃない。
この声と、この手で、語り合い、ふれる人々と、 この字と、この目で、語り合い、ふれる人々と。 語り合うこともなくただ同じ電車に乗っただけのすれ違う人々と、 語り合うこともなくただ同じ画面を見てただけのすれ違う人々と。
何も変わらない。
ココは道端だ。 自分はココにいる。
誰が来ようとも、誰が来なくとも。
手を繋ぐことが出来るのは、一度には2人まで。 語り合えるのも、一度には10人もいないだろう。
結局、自分が向き合っているのは世界であっても世界の全てではない。
空を見れば地面が見えない、それと同じように。
自分が向き合えるのは、自分の中にある、自分の触れる世界だけだ。
で、だ。
やっぱり人間が人間である以上避けられないことなのか。 避けることなど出来ないのか。
仲間も見つかれば、傷つけ合う人達もまた、出会ってしまう。
避けられない。
何故なのだろう。
こんなに沢山の人が居て。 こんなに沢山の仲間が居て。 こんなに沢山の―――やるせない不条理が、ある。
何故、悪意もなく人は人を傷つけてしまえるのだろうか。 何故、悪意を持って人は人を傷つけてしまえるのだろうか。
何故。
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