non-fiction.
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halu



2009年01月12日(月)
傷の責め。

痕が無数にある。
色が濃く目立つものを、
少しでも目立たなくしようと、
去年の秋から形成外科に通って治療している。
ステロイドを局所注射して、
赤みを落ち着かせる。
けれどそれにはたくさんの時間がかかる。
注射を打ったあとは、
逆に傷跡は目立つ。

バイトは半そで。
飲食店で調理をしている。
お客さんの前に出ることはめったにない。
けれど、
職場の子の目にはさらされる。
彼や彼女たちの目が、
私の傷跡に一瞬止まる。
けれど何も言わない。
それがエチケットか。
けれどならばせめて、
視線すら止めないで欲しい。

差別されているかもしれない。
今はしていないとは言っても、
所詮リストカッターに社会的立場なんてない。
「あたまのおかしい人」と、
思われることには慣れても、
感情はいつまでも慣れずに歪む。

私は、
気づかないフリをしてやり過ごす。


壊れてしまうのなら、
戻ってこられないほどに壊れてしまえばよかった。
長い時間をかけて中途半端に、
私は社会復帰を遂げて、
愛想と社会性を身につけて。
心は弱いまま。
弱さをひた隠すことを覚えた。

傷跡が私を責める。
お前なんかが倖せになれるわけがないという。
甘んじて差別を受けろという。

恋人は私を受け入れてくれた。
けれど、彼の家族はどうだろう?
友人はどうだろう?
彼の周りの人間までもが、私を受け入れてくれるとは限らない。
反対や拒絶に、人は弱い。


それでも期待してしまう。
それこそが、
私の弱さなのだと思う。


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