non-fiction.
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halu



2009年01月11日(日)
自分:発作:恋人

不安にとらわれる。
それを抑えようと、
見ないようにしようと、
誤魔化そうと、
蓋をするために、
快楽を求めようとする。
でもそんな一方通行なセックスは成立なんてしなくて、
名前を呼ばれる。何度も問いかけられる。
「どうしたの?」
そのたびに、
私の心に亀裂が入る。
ひび割れだらけの心は、
内側の不安に圧迫されて、粉々になる。
あふれ出したモノは、
涙と叫び声と、
やり場なく暴れる躰。
興奮して息が出来なくて、
過呼吸みたいになって。
「落ち着いて」
そういわれて、
ビニール袋を口に当てられる。
同じテンポで背中を叩く。
涙とよだれとぐしゃぐしゃになった髪でさえぎられた視界。
声は叫び声と泣き声と笑い声が混ざり合って。
その間、
何を考えていたのか覚えていない。
たぶん、
何にも考えていない。
そこには「暴れる私」が居ただけだ。
すべてを覚えている。
記憶が飛ぶことはまずない。
暴れる自分を、
冷静に観察している自分が居る。

不安定な自分が居る。
喪失感に怯える自分が居る。
見捨てられる「かもしれない」ことに怯える自分が居る。
いちばんにはなれない自分に淋しくなる。
恋人の帰る家が此処ではないことに、
どうしようもなく哀しくなる自分が居る。

いつか。

こんな発作を繰り返す私は、
彼にとって重荷になるのだろう。
嫌いにはならないかもしれない。
けれど、負担は負担でしかなく、
負担はストレスになる。
私と一緒に居るよりも、
誰か、
ほかの誰かと居たほうが倖せだと知っている。
気を遣うこともなく発作を恐れることもなく、
いつも気楽に、笑っていられる。
そういう関係のほうが良いことなんてわかりきっている。
知っていて、私は彼を離さない。
そばに居て欲しいと願う。


いつか愛した人は、
最後に、私に言った。

「俺には君を支えるだけの器がなかった」

そんなもの、求めたつもりなんてなかった。
けれど、
壊れた私は、その人の負担でしかなかった。
苦しかった私を救ってくれたその人は、
結局、
私をもっと苦しくした。
もっと底に落とした。
それが、
繰り返されるような、
そんな気がする。


ずっと一緒に居ることが無理ならそれで構わない。
法の縛りも子どもも望まない。
私に、倖せを奪う権利なんてない。
ならばせめてそのときまで笑っていられればいい。
そう思うのに、
どうしてか、
私の心は痛みに軋む。

かつては死を望んだ。
今は、
本当の孤独を望んでいる。
それが死よりも苦痛を伴うこととわかっていて、
でも同時に、
何よりの強さだとも、わかっている。


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