non-fiction.
non-fiction.

halu



2008年12月21日(日)
■遊び。

性教育を受ける前。
子どもはどうやったら出来るのか、
とか、
生理で躰がどうなるか、
とか、
セックスのやり方とか。
そういうのを、
まだまったく知らなかったころ。
兄が「遊び」を提案してきた。

読んでいたまんがに、
「ドキュメント○○」みたいなのがあって、
要は、
ドキュメンタリー的なことが、したかったんだと思う。

兄はその対象を、
私の性器に向けた。
暗くした子ども部屋で、
顔を隠して、
足を開いて、
どんな顔で、
兄が私のそれを見ていたのか、
触っていたのかは知らない。
気持ちいいとか悪いとか、
そういうのはまったくなくて、
何にも感じなかった。
ただ兄は、この遊びを気に入ったようだった。

私は、この遊びが、
「いけないこと」だと、
なんとなくわかっていた。

覚えているのは、
夏の日。
子ども部屋ではなく、
明るい部屋で。
兄か弟の学習机の上で、
やっぱり私は顔を隠して、
足を開いて。兄は私のそれを弄った。
「50円くれたら声も出すよ」
私はそんなことを言った。
「いけないこと」をしている自分に、
高揚感を覚えていた。

兄が驚いた声を出して、言った。
「なんかぬるぬるする」
たぶんそれが、
濡れるっていうことだったんだろうけど、
そのときの私は、
それが酷く奇妙で、気持ち悪く思えた。
快楽なんてまったくなくて、
ただの躰の反応に過ぎなかったのだけど。

そのあとも、
兄は何度か「遊び」を提案したけれど、
私は拒否した。

「いけないこと」への背徳にまみれた高揚感は、
いつの間にか嫌悪感に摩り替わっていって。

「遊び」をしなくなって、
いつしか、兄も提案しなくなって。
私と兄が覚えているだけになった。
そんな話は、もはやしないけれど。

この「遊び」のことは、誰にも言えない。
今まで誰にも言ったことがない。
子どもの好奇心というには、
酷く、酷く生々しい。
記憶。


過去  目次  未来


mail




My追加