長い長い螺旋階段を何時までも何処までも上り続ける
一瞬の眩暈が光を拡散させて、現実を拡散させて、其れから?

私は、ただ綴るだけ。
音符の無い五線譜は、之から奏でられるかも知れない旋律か、薄れた記憶の律動か。








2004年10月30日(土)

 土曜日はまず図書館へ行く。新着本を確認して、面白そうなものがあれば其の場で借りてしまう。情報処理教室へ向かい、資料組織演習目録法の授業を受ける。正午過ぎに授業を終えて、教室移動をした後、昼食。今年に入ってからはずっと御弁当。朝作るのは面倒だけれど、週六で学食よりは、幾分マシ。13時からはもう一つの授業、レファレンスサービス演習を受講。其の90分後、再び図書館に赴いて、今度はアルバイト。レファレンスで使用された一週間分の雑誌や紀要、其の他資料を配架。其れが終わると書庫の整理に移る。16時45分から19時45分までの中で最低一時間は、カウンタ業務に入る。貸出と返却の処理。19時半には一週間分の新聞を整理。20時には閉館準備に入り、何事も無ければ20時半に無事閉館。
 之が、私の土曜日の一連の動作。毎週毎週、殆ど変わることは無い。

 多分、暇である事と忙しいという事とは、必ずしも相反しない。同時に起こる事だってあるのだ。

 カウンタに座る土曜日の一時間は、大抵暇だ。そもそも大学図書館を土曜日に利用する人が、多い筈が無い。留学生と院生、外部利用者。学部生は極少数。平日のAV資料利用者が優に三桁を超えるのに対し、土曜日は30名前後。返却はあっても貸出は少ないというのも土曜日の特徴か。兎に角、暇。序でに言えば16時ともなれば既に外は暗くなってしまうので、睡魔にも襲われる。だからというわけではないけれど、土曜日のカウンタ担当者は大抵本を一冊用意する。雑誌であったり、語学のテキストであったり、或いは文学であったり、色々だけれど。そうして本に視線を落としながら、時折館内に視線を巡らせて溜息を吐く。

 キーボードをカタカタと鳴らしながら端末で何か検索する人。
 椅子に座って雑誌を捲りながら、分刻みで脚を組み直す人。
 参考図書を片手に勉強をして、半刻置きに立ち上がり館内をぶらつく人。
 書架を嘗め回すように歩き回りながら、携帯を弄る人。
 ――多分、既に見慣れた光景。飽きを感じる事は無いけれど、特別興味を惹かれるものも無い。

 別に、如何という事は無いのだと、思い込む。自分に言い聞かせる。
 後一ヶ月と半分、同じ事を繰り返せば冬休みに入るのだから。其の後は、一週間の通常授業、一週間の期間外試験、そうして定期試験で、長い春休み。他には何も、無い。
 春休みにはまた旅行に行こう――合法な家出をしよう。誰も止めない。誰に求める権利は無い。だって、合法だから。
 私は月に何冊かの本を読んで、独逸語だの英語だのといったテキストに向かい、図書館の現状は如何こうと聴講して、課題をこなし、休日には死んだように眠りたくなるだけ。現実には忘れる事無く朝が来て、私も死ぬ事無く目が覚める。其の、繰り返しだけ。










 <<  道標  >>


一言メッセージフォーム。長文は此方をどうぞ。




片翼 [MAIL] [CLAP!]

My追加