長い長い螺旋階段を何時までも何処までも上り続ける
一瞬の眩暈が光を拡散させて、現実を拡散させて、其れから?

私は、ただ綴るだけ。
音符の無い五線譜は、之から奏でられるかも知れない旋律か、薄れた記憶の律動か。








2004年10月02日(土)

 耐え難い苛立ち。意味も理由も無くて、其れは葛藤でも何でも無くて、只管に自分の中だけで沸々と湧き上がる苛立ち。其の対処は、多分呆気無いほど簡単だ。ただ、弧の攻撃性を外に向ければ良いだけ。此の苛立ちを解消しようと思ったら、椅子の一つでも投げて硝子窓を割れば良い。唯、其れだけ。其れだけで、多分私の苛立ちは解消される。其れが出来ないなら、ゴミ箱の一つでも思い切り蹴り倒塵芥をばら撒けば良い。其れも出来ないのなら、壁を蹴るだけだって良い。
 其れすら出来ないのなら、自分に向けるしかないじゃない、此の攻撃性を。
 切るという行為は、無意識のうちに始めてしまったとしても、物凄く神経を使う。切った後の脱力感といったら、無い。苛立ちは私に心臓を抉り出させるほどの殺意を生むけれど、此の脱力感は心臓を握り潰す。息が出来なくなるほどの疲労と安堵。それと、罪悪感。誰かに対しての罪悪感なんかじゃない、唯、此の行為に対しての罪悪感。
 こんなにも気力体力を使うような行為は、面倒だ。刃物なんて使うから悪い。元々、私は血を見るのは苦手だし、嫌いだ。そうして刃物を握らなくなった私は、然し苛立ちを如何する事も出来なくて、スクラッチへと至る。簡単だ。眠っている間に爪が勝手に肌を切り裂いてくれるだけ。意識の仕様が無い。アトピーの私にとって爪は凶器。痛烈な疲労と安堵と罪悪感を伴う脱力感を味わうことなく、此の攻撃性も殺意も苛立ちも、無くなってしまうのであれば。
 ――とは言うものの、結局自分の意思で苛立ちを解消しているわけではない、と感じてしまうものだから、スクラッチは意味が無い。しかも何時私の無意識が爪を凶器に変えてくれるかも解らない。だから、切るしかないじゃない。

 …………と、苛々しながら理論立ててみる。物事を正当化するのって簡単だと、思う。私は物心ついたときからそうしてきたわけだし、そういうわけでディベートとかディスカッションとかでは負けたこと無いし。自分がどれほど破綻した理論を立てているか理解しているし、其の上で反論されれば反駁を返すだけだし。相手に反駁されないような反論するのも、容易だし。

 ――最悪だな、色々な意味で。










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