お盆に一週間休みを取った兄が、今日、帰る。 帰る、のか、戻る、のか、私には解らないけれど。取り敢えず、家から居なくなる。
「お兄ちゃんの妹」であることに、私は疲れている。
兄は、兄でしかなくて、只の兄なのに、私を縛り付ける存在の一つだ。 私の領域を勝手気侭に侵す存在。 敵わない。何年経っても、私は兄に勝つ事なんて出来ないし、私が兄の上を行く事も無い。 恵まれた兄と、そうでない私の、埋まる事の無い差。 私が幾等望んでも、周囲は其れを望まない。だから、私は何時まで経っても「お兄ちゃんの妹」でしかないのだ。 兄を愛した母は、妹を同じようには愛さなかった。 只、其れだけの事なのだけれど。 其れだけの事なのに、私は、幾つもの枷を外すことが出来ないで居る。
窓の外で騒ぎ喚く子供が煩くて、今日も私は眠る事が出来ない。
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