苛立つ。周囲のあらゆる事物に対して、私は敵意を示す。
大学生にもなって、如何して言われた事すら出来ないのだろう。期限を与えて、其の期間内に終わらせてくれれば其れで良いのに。其れ以上の事は何一つ求めていないのに。単純で、簡単な事なのに。如何して、出来ないのだろう。
自ら日時を指定したくせに。其の日、其の時間に必ず用意して私に届けると言っていたのに。如何して三十分以上も人を待たせる事が出来るんだろう。何一つ悪意無しに、他人の時間を奪う事が出来るのだろう。
如何して、十秒前に言った事を忘れるんだろう。小学六年生にもなって、春には中学生になるのに、如何して解らない事を人に言葉で尋ねる事すら出来ずに黙り込むのだろう。如何してあそこまで、他人に甘える事が、自分はずっと永遠に子供であると認識出来るのだろう。
定期的に携帯に掛かってくる電話。知らない番号。私と知って掛けてくるのかしら。其れとも、只の、悪戯。如何してこんな事をするのだろう。着信に出れば無言で切られる、だから私は放置したり、着信に気付いた瞬間電源を切ったりする。其れでも何処の誰か判らない相手は、私の携帯の着信履歴を残していく。如何してだろう、こんな事をして、何が楽しいのだろう。
PDの再発を恐れて、私は氷点下の外を闇の中、一時間以上歩く。頭を冷やす必要がある。冷静になる必要がある。冷徹になる必要がある。だから、歩く。擦れ違う人々も車も、私とは全く関係を持たない人達。忙しなく夜の道を行く人達に、孤独とか、そういう概念は無いように思えてくる。客観的になれる。私は、落ち着きを取り戻す。
体中に蚤が蔓延っているように、皮膚の至るところを掻き毟る。元々アトピー持ちなので引っ掻けば嫌でも赤くなるし血が滲む。刃物なんか使う必要は無い。一切の汚れを落とすように熱湯に浸かって、浸かっている時は良いのだけれど、皮膚は熱さに耐えられないようで、結局赤く腫れ上がって痒くなって爪を当てる。悪循環でも如何しようもない。体温調節が出来ない体にぬるいお湯ほど耐えられないものはないから。
週末は家に引き篭もる事にする。学校は、センターがあるから校舎内に入れないし。レポート遣るし、情報処理片付けるし。 色々、様々、もう厭。
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