2005年04月28日(木) |
プロフの写真について3 /撮影の実際 |
概して女性というのは機械物が苦手なようだ。チャトレちゃんたちと話をしていても、カメラの使い方がよくわからないという声はしばしば耳にする。けれどカメラマンのなかには女性で活躍している人も大勢いる。彼女たちのレベルとまでいかずとも、女性だって写真を趣味にしてる人は大勢いるのだから、苦手意識など持たずに「楽しみながら慣れていく」ことを経験して欲しいと思っている。 写真を撮るときに最も気をつけて欲しいのは、やはり「光」だろうか。写真というのは、光がレンズを通ってフィルム(デジカメの場合は撮像素子)に撮像を記録する。光が無ければなーんにも写らないのである。だからこそ、この光とどうやって向き合っていくかが、写真を撮るうえでは重要ともなってくる。 チャトレちゃんたちの場合は、まず99パーセントが「人物写真」だよね。自分を撮ることが目的であるはず。であるならば、人間というものに光があたった状態を色々と考えてみるといいだろう。光源の側は明るいけど反対側は暗いよね。その途中にはうっすらと影の稜線が現れる。その光と影を上手に写真に写しこむようにするといい。 別な視点から解説するけど、ストロボ(フラッシュ)を使った写真というのは、ストロボをカメラから遠ざけて被写体の横方向から発光させない限り、被写体に影が落ちてる様子を撮影することはできない。真正面からの光は被写体をのっぺらと明るくするだけだ。写真は二次元、つまり平面で仕上がる。その平面のなかで「現実の世界=三次元」を表現しなければならない。そのために重要となるのが、じつは「影」や「遮蔽物」なんだ。 具体的にアドバイスすると……まずほとんどのチャトレちゃんは、自宅の室内で撮影するだろう。そのとき、「光源」と「自分」そして「カメラ」との位置関係を工夫してみて欲しい。昼間であれば窓からさしこむ太陽光、夜であれば天井にひっついてるベースライトは消して(あるいは弱くして)、スタンド等の横からの灯を利用する。その「光源」と「自分」とを結んだ線を、横からみる位置に「カメラ」を置く。どういうことかというと、自分の体に影が落ちてる様子が見える位置から撮るということね。光源とカメラと自分とで三角形ができあがる、ということになる。 細かく書くと長くなりそうなのでここで光については終わりにするけど、「影のできかたを観察して撮る」ということを、常に頭において撮ってみて欲しい。 デジカメの扱いについては、具体的にはカメラのマニュアルを読んでもらうほうがいいんだけど、人物撮影の際に「できればこうして欲しい」という「僕流」のものをいくつか紹介しましょ……。 基本的に、「フルオート」で撮らないほうがいいと僕は思っている。フルオートってのは、とにかく何でもバランス良く撮ろうとする。だから、窓辺で写真を撮ってみたら、窓の内側にいる被写体の影の部分が真っ暗になっちゃった、なんてことにもなる。まあ、場合によってはフルオートのほうが綺麗に撮れるシーンもあるんだけど、いまどきのデジカメはマニュアル操作が幅広く可能になっているんだから、少し面倒だけど、露出や距離等をマニュアルで設定して色々試写してみるといいだろう。 「ブラケッティング」といって、露出を段階的に上下させる撮り方がある。最近のコンパクトデジカメにも、みてるとその機能があるようだから、そういう場合は、ブラケッティング撮影を試してみるのもいいかと思う。標準の露出に対して、一段階二段階と露出を上下(明るくしたり暗くしたり)させて撮ってみると、意外と「お、これいいじゃん」という写真に出逢ったりするものなんだ。 おそらく、マニュアル撮影で最も難関となるのが、この「露出」だろうな。露出とは、光の加減で、それは「絞り」と「シャッタースピード」によって決まる。その辺の解説をはじめると、また大変なことになっちゃうので、知りたい人は「ヲトナごっこ」にある「デジカメコラム:撮ってもデジタル」の12、13辺りを読んでください……。 まあ、はじめからいきなりマニュアルでというのも無茶な話だから、カメラの機能や使い勝手に慣れるまでは、オートで色々撮ってみるといいかもね。そうやって撮った写真たちを眺めつつ、「もっとこんな感じにならないかな」とかアイデアを巡らせてみるといいだろう。 よく「一眼レフのようなボケ味が好き」という声を耳にすることがある。コンパクトカメラではボケ味は出ないかというとさにあらず。コンパクトでも一眼レフのような絶妙なボケ味は出せるんだな。方法はいくつかありそうだけど、一度お試しいただきたいのが「マクロ撮影」というやつ。 マクロとは「接写」のこと。レンズには「これ以上近づくと合焦しませんよ」という限界点があって、通常の撮影ではその距離より被写体に近づくと、まるでピントがあってない写真になってしまう。けれど、マクロ機能を使うことによって、それ以上に近づくことが可能となり、さらには、合焦ポイント前後の撮像が通常撮影よりボケやすくなるんだ。 極端な話、顔出ししたくないチャトレちゃんがセルフでマクロ撮影すれば、顔の上空から口許にピントをあわせると、目の辺りはボケて写ったりする。それほどマクロというのは、合焦する範囲が狭まるんだな。これは逆も然りで、レンズを望遠側にすると、やはりボケやすくなる。けれど、狭い室内で撮影するのに望遠側で撮るなんてことはそうそうないだろうから、マクロをうまく利用して撮るほうが適当かもしれないね。 で、「そんなに近づいて撮らないわよ」と仰るかもしれないな。でも一度お試しあれ。マクロとはいえ、必ずしも接写しなければならないというものでもないんだ。意外とマクロの許容範囲(距離)というのは広くて、チャトレちゃんたちが撮るであろう構図くらいなら、カバーできるかもしれないと僕には思えるから。 それから、多少システムは大げさになるけど、どんな感じに写るのかが感覚的によくわからないという場合は、パソコンとデジカメとを接続できるならそうしてみるといいだろう。つまり、パソコンの画面をファインダー代わりにして確認しつつ撮るということね。これ、けっこう便利だろうと思いますぜ……。 写真には、確かに「基本的撮影方法」というのはある。けれど、そうじゃなければいけないというルールはない。カメラが持つさまざまな撮影機能だって、なにも説明書通りに使わなくてもいいのである。色々と撮ってみて、そこから自分なりの撮影方法を探し出すこともまた、僕は写真の楽しみのように感じている。 楽しくなると工夫する。工夫すると面白い写真が撮れる。面白い写真が撮れると、さらに人は工夫してみようと思い始める。それが大切なのだろう……。 【まだまだつづくのだ】
|