先生妄想日記

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2007年02月05日(月)    フライング

連日通ってきていた高校3年生ズが、自由登校に入り、ぱったり来なくなったうちの教室。
うちの教室だけじゃなく、なんか一学年いないだけで、学校全部が静かだよなぁ。
よし、溜まった雑用をサクサクこなすぜ!
と思っていたら、いろんな証明をもらいに学校に来た高校3年生ズが、帰りに教室をのぞきにきた。

「うわぁ、閑散としてる」
「カンサン!すごいね、さすが受験生だね!よく覚えたね、そんな単語」
「先生、俺らのことバカにしてるっすね」

してないしてない!

「てか、まじで誰もいねーし」
「当たり前じゃん、みんな授業中よ」
「あーそっか。なんか変な感じ」
「そうだね」
「でも、ほとんど俺らの学年が遊びに来てたじゃん、毎日。先生、さみしいでしょ」
「まさか!静かでほっとしてるよ」
「わはは、強がってる」
「強がってないわ」
「強がってる強がってる。でも俺ら、来月には本当にいなくなるんだからね。こんなふうに制服着てフラフラここ来ることもないんすよ。先生、俺らがいない教室にちょっと慣れとかなきゃ、寂しくて死んじゃうじゃないすか」
「私はウサギか。死なないよ」
「良いトシして、自分のことウサギとか言っちゃうとこが先生っすね」

というわけのわからない会話の途中に、そうかぁ、もう制服着てこの子たちが遊びに来なくなる日は本当に本当に近いのか、と思ったら、泣きそうに。
でもこんなところで泣いてはいかん、泣いたらアホだ、と思って我慢。
でも、彼らが教室を出た後、「じゃーね」と見送るのはコレが最後かも、とか思ったら、やっぱり泣けました。
ひとりでヒソヒソ泣いてたら。

「せんせーゴメン、忘れ物……うわぁぁ!なんで泣いてんすか!」
「うわぁぁ!まじかよ!そりゃ卒業式だろ!せんせーフライングすぎ!」

うわぁぁ!なんで帰ってくんのー!
いや違う、違うのさ、これはね、目にゴミがね……!と言い張りましたが、なんだよ、本当に寂しいの?と偉そうに言われてしまいました。
本当に寂しいわい。

「まぁ、泣いてたとか誰にも言わないっすから」
「えーと、うん、ごめん……いやいや、目にゴミが入っただけだってば」
「いやいや、てか、なんも見てねーし、俺ら。な?」
「うん、見てない見てない。忘れ物取りに来ただけ」

昔だったら、気まずそうに帰るか、それか指差して笑っただろうにね。
なんも見てねーし、なんて、いつから言えるようになったの。
本当に、もう大人になりつつあるのだね。

しかしすごいフライングだ。
進路も決まってなくて、彼らだって精一杯の時期に、変なもの見せて、ほんと申し訳ない。



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