2015年11月10日(火) |
東芝の調査委員会の報告には問題がある |
日経(H27.11.10)1面で、東芝が、会計不祥事を調査した役員責任調査委員会の報告書を公表したという記事が載っといた。
その報告書では、西田厚聡元社長ら5人が、不適切会計を防いだり是正したりする「善管注意義務」に違反していたと指摘し、5人に対して不祥事で生じた損害の賠償責任を追及するのが相当としている。
ただ、5人の行為は「個人の利益を目的としたものでもなく、会社に特別の損害を加えようと画策したものでもない」として、損害額の算定などでそうした点を考慮する余地があるとしている。
しかし、損害賠償請求における請求額は、実際の損害額が基準になるべきであり、個人の利益を目的としたかどうかは、損害の算定にはほとんど影響しない。(悪質性という意味で、増額の要素にはなるかも知れないが)
確かに、個人に対する請求であるから、巨額の賠償金を請求しても現実的ではない。
それゆえ、請求額を決めるにあたって、役員の支払能力を考慮することはあり得る。
しかし、個人の利益の目的の有無や、会社に特別の損害を加えようと画策したか否かを請求額の算定において考慮するのはおかしいのではないだろうか。
調査委員会の報告には問題があるように思う。
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