2015年10月29日(木) |
著作権と著作者人格権 |
日経(H27.10.29)夕刊で、法律専門雑誌「著作権判例百選」の改訂版が著作権を侵害するとして、東京地裁が、出版社の有斐閣に出版差し止めを命じる仮処分の決定を出したという記事が載っていた。
記事では、「著作物に氏名を表示するかどうかは著作者の権利として認められており、大渕氏は、氏名を載せないのは著作権侵害だと仮処分を申し立てていた。」とある。
しかし、著作者名を表示する権利(氏名表示権)は著作者人格権の一つであり、著作権ではない。
すなわち、著作者の権利としては、人格的な利益を保護する『著作者人格権』と、財産的な利益を保護する『著作権』の二つがあり、両者は権利の内容が異なる。
したがって、「氏名を載せないのは『著作権侵害』だと仮処分を申し立てていた」という記事の表現は誤りであり、「著作者人格権侵害」が正しいことになる。
記事の見出しでは「『著作権』本が著作権侵害」としていたが、受けを狙い過ぎであり、正確性に欠ける表現である。
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