今日の日経を題材に法律問題をコメント

2015年09月10日(木) 被告が任意に提出した手紙でも秘密交通圏の侵害になる

 日経(H27.9.10)夕刊で、千葉地裁は、検察官が勾留中の被告に対し、弁護士に送る予定だった手紙などを提出させたのは「秘密交通権」の侵害だとして、国に計44万円の支払いを命じたという記事が載っていた。


 判決理由では、「検察官は弁護士宛ての手紙と予想できたのに、漫然と提出させた。落ち度は重大」「被告の同意はあったが社会通念上相当と認められず違法だ」と述べている。


 被告が任意で弁護士宛の手紙を提出したのであるから、違法性はないようにも思われる。


 しかし、秘密交通権は、被告の権利であると共に、弁護人の固有の権利であり、弁護士に送る予定の手紙を提出させることは、弁護人の固有の秘密交通権を侵害すると考えたものと思われる。


 このような論理構成は、鹿児島の志布志事件接見国賠訴訟の鹿児島地裁判決においてみることができる。


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