2015年08月10日(月) |
徴兵制は憲法18条に違反するのか |
日経(H27.8.10)政治面で、安全保障関連法案の参議院での審議の様子を報じていたが、その中だ、安倍首相が「徴兵制は憲法18条が禁止する『意に反する苦役』に該当する。明確な憲法違反で、全くありえない」と答弁したと書いていた。
一般的には、徴兵制は憲法18条に違反すると解釈されている。
しかし、憲法18条は、「何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。又、犯罪による処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない。」と規定しているだけで、徴兵制については直接には述べていない。
そもそも、憲法18条はアメリカ合衆国憲法修正13条1節に由来しており、そこでは「奴隷及び本人の意に反する労役は、犯罪に対する刑罰として、当事者が適法に宣告を受けた場合を除くほか、合衆国あるいはその管轄に属するいずれの地にも存在してはならない。」と規定している。
そして、アメリカではその憲法の下で徴兵制が採用されたことがあり、しかも、最高裁も徴兵制を合憲と判断している。
このことは、その条文の文言からは、必ずしも徴兵制の禁止までは読み取れないということを意味している。
日本においても、防衛の義務を国民全体の義務と考えた場合には、防衛のためであれば、徴兵制は「意に反する苦役」には該当せず、憲法18条に反しないと解釈することは不可能ではない。
もちろん、徴兵制には国民のほとんどが反対であろうし、その必要性もないと思うが。
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