2015年07月22日(水) |
第三者委員会は「第三者」なのか |
日経(H27.7.22)1面トップで、東芝は、不適切会計問題を受けて歴代3社長が辞任するなど経営体制の刷新を発表したと報じていた。
この問題では、収益目標の達成を求めるトップの強い圧力により、インフラ建設やパソコン、テレビなど多くの事業分野で不正な会計操作がなされ、その額が7年間で1562億円という巨額に及び、経営責任が問題になっていた。
トツプの辞任は当然であるにせよ、東芝は、一貫して「不適切会計」という言葉を使っていることが気になる。
おそらく、「不正」とか「粉飾決算」と言うと、上場廃止が問題になってくるし、取締役に対する株主代表訴訟、株価下落による損害賠償請求などの懸念があるからであろう。
問題なのは、第三者委員会までもが「不適切会計」という用語を使っていることである。
第三者委員の記者会見でも、この点を突かれ、記者から「報告書では『不適切』としているが『不正』ではないのか」という質問が飛んでいる。
それに対し、第三者委員は、「会計的な虚偽表示は、間違いという『誤謬』と経営者や社員が意図的に間違えた『不正』に分かれる。ただ、不適切という言葉は実務でも多く使われている」と答えている。
しかしこれでは、会計用語としては「誤謬」と「不正」があるのに、そのいずれも使わず、「不適切」という言葉を使った理由が説明できていない。
そもそも、第三者委員の報告書では、「組織的関与」「主要分野のほぼすべて」「監査法人への事実の隠ぺいなど巧妙な手口」などと指摘しており、「不正」であることは明らかであり、それをわざわざ「不適切」というのは、何らかの意図があると考えざるを得ない。
すなわち、第三者委員会は、上場廃止のおそれや株価下落による損害賠償請求という事態を懸念して、あえて「不適切会計」という言葉を使ったと思われるのであり、果たして「第三者委員会」は「第三者」といえるのか疑問である。
|