2015年07月17日(金) |
裁判官が「共犯者について話せば量刑を考慮する」と言うのは問題か |
日経(H27.7.17)社会面で、詐欺罪に問われた男の事件で、福岡地裁小倉支部の裁判官が、公判で、「共犯者について話せば、量刑を考慮する」と説得をしたという記事が載っていた。
記事では、「国会で現在、導入の是非をめぐり審議が続いている「司法取引」を先取りしたような形であり、議論を呼びそうだ。」としていた。
しかし、そのような説得は司法取引ともいえず、問題はないのではないかと思う。
記事の事件は組織的犯行であったことから、共犯者のことは重要な捜査情報であるが、それを話さないということでは、その被告人が十分反省しているとはいえず、共犯者をかばっていることから、再犯の恐れもあるとみなされても仕方ない。
逆に、共犯者について話すことは、反省していることの表れであるし、真相解明にも貢献している。
したがって、そのような事情は量刑に考慮されて当然である。
実際、被告人は、その後共犯者について詳細に捜査機関に語ったそうである。
「司法取引」の場合には、本来捜査すべきことまで握りつぶすのではないかという疑念があり、司法取引の公正さを検証することが難しい面がある。
しかし、記事になった事件では公開の法廷で、被告人を説得しただけであり、「司法取引」とは異なるものであって、何ら問題はないと思う。
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