2015年07月14日(火) |
佐世保女子生徒殺人事件 少女を医療少年院に送致 |
日経(H27.7.14)社会面で、佐世保市で高校1年の女子生徒が殺害された事件で、長崎家裁は、同級生の少女を医療少年院に送致する決定したと報じていた。
この少女は、小学5年で猫を殺し始めるなどの問題行動を起こし、中学生になると殺人欲求を抱き、父親殺害に失敗している。
さらに、少年法では16歳以上の殺人は原則として検察官送致(逆送)としているが、少女は16歳になる数日前に殺人を実行しており、非常に悪質である。
遺族としては、少女を刑罰をもって厳しく裁いて欲しいであろうし、医療少年院に送致した家裁の決定には世間からも批判が多いと思う。
刑罰は応報であると考えると、犯罪者の属性はあまり考慮せず、刑罰をもって臨むべきという方向になる。
他方、刑というのは教育であると考えると、犯罪者の矯正に重きが置かれる。
実際は、この応報刑と教育刑のどちらか一方だけということはなく両側面が考慮されるが、一般に、少年の場合には立ち直る可能性が高いので(可塑性があると言われる)、教育刑が重視されている。
この少女についていえば、裁判所は、「刑罰による抑止効果はなく、刑務所ではかえって症状悪化の可能性がある。」としたうえで、高い知能、共感性の欠如、興味を持つと徹底的に追求し、決めたことを完遂するという少女の特性を考慮して、特性に応じた矯正教育と医療支援が可能な医療少年院を選択した。
応報という見地からは納得できないかも知れないが、教育刑という見地からすれば、妥当な決定ではないかと思う。
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