2015年06月09日(火) |
上告を諦めてもおかしくない事案であるが |
日経(H27.6.9)社会面で、労災認定を受けて休職・療養中に解雇されたのは不当だとして、専修大の元職員が解雇無効を求めた訴訟で、最高裁は、「国から労災保険の支給を受けている場合でも(使用者が)打ち切り補償を支払えば解雇できる」とする初判断を示した。
労働基準法は、業務上のケガや病気で療養中に解雇することを原則禁止している。
ただ、使用者が療養費を負担している場合に、3年が過ぎても治らないときは、賃金1200日分の「打ち切り補償」を支払えば解雇できるとしている。
今回の訴訟では、国が労災保険を支給していたため、使用者は療養費を負担していなかった。
そのような場合でも、打ち切り補償を支払えば解雇できるかが争点だった。
一審、二審は「打ち切り補償の適用は、使用者による療養補償を受けている場合に限られる」とし、解雇無効と判断していた。
しかし、最高裁は、「労災保険が給付されている場合、労働基準法が使用者の義務としている災害補償は、実質的に行われているといえる」とし、打ち切り補償の支払いで解雇することができると判断した。
上告人である専修大学は、1、2審で敗訴し、しかも、条文の文言を素直に読めば、1、2審の判断の方が正しいともいえる事案であった。
それゆえ、上告は諦めても不思議ではない。
上告人は専修大学であり、代理人弁護士は、専修大学内に弁護士事務所がある。そのため、両者が綿密に打ち合わせをして、頑張ったのかなあと想像する
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