今日の日経を題材に法律問題をコメント

2009年07月29日(水) 東京高裁が、配信記事について地方紙の責任を否定

 日経(H21.7.29)社会面で、共同通信の配信記事を載せて名誉棄損になった事件で、東京高裁は、一審の判断を覆し、地方紙の賠償責任を認めなかったと報じていた。


 一審では、共同通信社の名誉棄損は認めなかったが、配信を受けた地方紙の名誉棄損を肯定していた。

 
 共同通信も地方紙も独立した責任主体ゆえ、それぞれについて名誉棄損にならないように取材上の注意義務を果たしたかが問題にならざるを得ない。


 その結果、配信した共同通信は名誉棄損に問われないが、その記事を掲載した地方紙は名誉棄損に問われるという結論がある得ることになる。


 一審では地方紙側は、定評ある通信社の配信であれば掲載紙は責任を問われないという、アメリカの判例で定着している「配信サービスの抗弁」を主張したようであるが、それは受け入れられなかった。


 そこで、控訴審で地方紙側は、共同通信と掲載紙とは、取材上の注意義務の履行とそれを期待できる相互関係にあると主張したようである。


 その論理を高裁は受け入れて、地方紙は、配信記事を真実と信じる相当の理由があるので過失はないとして責任を否定したものである。


 一審で地方紙側が主張した「配信サービスの抗弁」というような新しい論理は、裁判所はなかなか受け入れない傾向がある。


 それよりも、控訴審での地方紙の代理人の主張のように、従来の判断基準である「配信記事を真実と信じる相当の理由があるかどうか」という事実認定の問題に持ち込んだ方が裁判所の理解は得やすい。



 お手柄なのは、控訴審での地方紙の代理人であろうと思う。(一審と控訴審の代理人は同じかも知れないが)


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