| 2009年05月26日(火) |
精神鑑定を裁判官はどこまで尊重するか |
日経(H21.5.26)社会面で、被告人に刑事責任能力があったかどうかが争点となった事件の差し戻し後の控訴審で、東京高裁は、責任能力があったと判断し、懲役2年6カ月の判決を言い渡したという記事が載っていた。
この事件では、1審は「心神喪失」とした鑑定結果に基づいて無罪判決を言い渡したが、2審は鑑定結果を信用せず懲役3年の逆転有罪にたした。
これに対し最高裁は、「専門家の精神鑑定は十分に尊重すべきだ」として審理を東京高裁に差し戻していた。
このような場合、差し戻し審では最高裁の判断を尊重するから、鑑定結果に基づき心神喪失と認定すると思われた。
ところが差し戻し審は、「最高裁の考え方を一般論としては正鵠を射ている」としつつ、鑑定結果は「現在の精神医学の知見から見て信用性に問題がある」と判断した。
つまり最高裁の判断に叛旗を翻した形になったのである。
そこには、「精神鑑定についても最終的判断は裁判官が行う」という強い意思が感じられる。
この差し戻し審に対する最高裁の判断が待たれるところである。
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