今日の日経を題材に法律問題をコメント

2005年08月19日(金) 「営業秘密」を特定することは難しい

 日経(H17.8.19)5面に、会社が従業員と交わす守秘義務契約について、経済産業省は、指針を設けることになったという記事が載っていた。


 その指針によれば、対象となる営業秘密を具体的に特定し、守秘期間も限定するよう求めていくとのことである。

 例えば、営業秘密の内容として、「画面の色を鮮やかにするためのフィルターの製造方法」などと具体的に特定するよう求めている。


 確かに、あまりに営業秘密の内容が漠然としている場合には、広範囲すぎて、その契約が無効になる恐れがあるし、従業員が転職しにくくなるという弊害もある。


 しかし、従業員と営業秘密保持契約を締結している会社でも、「営業秘密」について特定している会社は少ないのではないだろうか。

 というのは、その従業員の担当部署が変わることもあれば、新しい開発が始まり営業秘密の内容が増えることもあり得るため、営業秘密の内容を事前に特定することが難しいからである。


 そこで、具体的に特定することが困難な場合には、営業秘密契約の中で、「その後の事情の変更により会社が営業秘密として管理することになった情報で、営業秘密であることを従業員に告知したものも含む」とするとか、
「『営業秘密』とは、不正競争防止法上に定める『営業秘密』をいう。」と定義規定を置くなどの工夫をしておく必要があるだろう。


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