2005年07月22日(金) |
違法性の錯誤は故意を阻却しない |
日経(H17.7.221付)社会面に、堤義明前コクド会長が虚偽記載、インサイダー取引に問われた事件で、堤被告が、旧大蔵省OBの弁護士から、違法であるとの注意を受けなかったと供述したと報じていた。
つまり、堤被告は、弁護士から適切なアドバイスがなかったことから、インサイダー取引にあたるとの認識が薄かったのであり、その点を情状として訴えているのである。
ところで、刑法の教科書には、弁護士が適法であるとアドバイスして、それを信じて行ったところ違法であった場合に、犯罪の認識がないとして罪を問われないのかという問題がある。
この問題は、適法であると思ったのに違法であったことから、「違法性の錯誤」と言われ、「違法性の錯誤は故意を阻却するか」という形で議論されている。
結論としては、「違法性の錯誤」は故意を阻却しない。
したがって、「弁護士が違法でないと言ったから罪にならない思った」という言い訳は通らないことになっている。
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