2005年02月07日(月) |
ヤミ金問題で、巨額のお金が暴力団に還流される |
日経(H17.2.7)社会面で、ヤミ金融事件で、裁判所が、被告人が利得した43億円の追徴を認めず、このお金が暴力団に還流する恐れがあるという記事が載っていた。
裁判所が追徴を認めなかったのは、そのお金を国が追徴してしまうと、被害者の損害賠償請求ができなくなり、被害回復が不可能になるからである。
しかし、実際に被害者が被告人に対し損害賠償請求しているケースは少なく、現在でも1億6000万円ととどまっているそうである。
記事では、損害賠償請求していない理由として、「被害者が提訴しないのは、報復恐れているからである」と書いていた。
しかし、「報復を恐れている」というのは間違いである。
ヤミ金の被害者は、あちこちから借りており、誰に借りたかもきちんと把握していない人が多い。
また、貸す側は「あけぼのファイナンス」などと適当に名前をつけているから、それが五菱会関係なのかどうかは正確には分からない。
しかも、個々の被害金額はせいぜい数十万円であり、弁護士に頼んで手間暇かけて被害を回復しようとはなかなか思わないだろう。
このような理由から、損害賠償請求を提訴することはあまり考えられないと思われる。
そのため、記事にあるように、巨額の金が暴力団に還流する可能性は高いだろう。
追徴を認めなかった裁判所の考えは、理念としては正しいが、現実的な判断ではないと思う。
|