2002年02月17日(日) |
民事再生法−万能ではないことに留意すべきである− |
今日の日経17面に「検証 民事再生法」「急増の裏に勘違い」という記事が載っていた。
その記事によれば、民事再生法は、処理のスピードが早く、かつ、経営者がそのまま残ることができることから、申立が急増している。 しかし、民事再生法を使えば必ず会社が再建できると勘違いしている経営者も多く、うまくいかずに破産になってしまうケースが、東京地裁だと3割にも達している。 結局、企業が再建できるかどうかは市場原理によって決まるという内容である。
その通りだと思う。
民事再生法を、単なる、法律による債権放棄と勘違いしている人は多い。
私も、よく経営者から、民事再生は無理でしょうかと相談される。
しかし、ほとんどの場合は、その会社に特別の技術やノウハウがあるわけでなく、しかも、受注は一貫して減少しており、たとえ債権放棄されても、今後受注が増大することは考えられないケースが大半である。
そのような場合、民事再生手続きによって、債権放棄され、支払いが一時的に減り、その場はしのげても、再び債務超過になることは明らかである。
しかも、そもそも、再生計画には債権者の同意が必要である。 ところが、債権を放棄しても、再生の見込みが危うい場合には、債権者は再生計画について同意しないのである。
したがって、再生が可能である案を立てる必要があるのに、どう考えても再生計画を立てられないケースが多いのである。
このように、民事再生は到底無理であるのに、何とかならないかと相談されることがしばしばである。
また、弁護士でも、勘違いしている人がいる。
先日、私が代理人になって破産を申立てた事件で、破産管財人が、破産ではなく民事再生法を使って、取引先と従業員を営業譲渡した方がよかったのではないかと言ったことがあった。
確かに、民事再生手続きにおいて、営業譲渡の手法が取られることがある。 しかし、私が申し立てた会社はコンピューターソフト会社があり、取引先と社員を譲渡すると、会社には何にも残らないのである。 したがって、債権カットされても、収入がないのだから、債務の返済は不可能である。 その管財人は、その後、どうやって債務を支払っていくと思ったのだろうか。
要するに、民事再生法は、「再生」しなければ意味がない。 そして、再生するためは、企業活動によって儲けるしかないのである。 民事再生法は、そのお手伝いをするだけにすぎないと考えておくべきだろう。
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