2002年02月07日(木) |
タックスシェルター(課税逃れ商品) |
日経27面・経済教室に、「課税逃れ商品に対応を」という論文が書かれていた。
ここでいう「課税逃れ商品」とは、タックスシェルターと呼ばれる商品であり、匿名組合契約を利用している。
そこで、匿名組合について説明しておくと
匿名組合は、商法に規定された契約形態であり、
匿名組合員が営業者に出資する 営業者が商取引を行う 営業者が得た利益を、出資割合に応じて匿名組合員に配当する
という契約である。
タックスシェルターの典型的なパターンとしては、
この匿名組合を利用して、
まず、オランダにペーパーカンパニーを設立して、それを匿名組合員とする。 次に、ケイマンに設立したペーパーカンパニーの日本支店をつくり、それが営業者となる ケイマンの日本支店で得られた利益を匿名組合員であるオランダ法人に支払う
ということにするのである。
そして、ここがポイントだが、日蘭租税条約によって、オランダ法人に支払われる利益に対し、日本でもオランダでも課税されないのである。
これによって、1兆円以上の税金が免れているともいわれている。
しかも、これを商品として販売しているのである。 つまり、投資家に対し、投資する対象の事業と、課税逃れ商品とをセットで販売するのである。
よく考えるともんだと感心する。
このシステムで、出資を小口にすると、一般の消費者に対しても販売は可能になるように思われる。
しかし、一般の消費者の場合は、十分な注意が必要である。 なぜなら、税制は毎年変わり、場合によっては、節税効果がなくなる可能性があるからである。
かつて、ワンルームマンションが節税商品としてもてはやされたが、税制が変更になり、節税効果がほとんどなくなったことがある。 そのため、多くの人が、売れないワンルームマンションを抱えたままになってしまったことは記憶に新しい。
ましてや、このタックスシェルターは、すでに税務当局から目を付けられており、課税されたケースもあるようである。
そのため、節税商品であると説明を受けたのに、税制が変わり、あるいは税務署の見解が変わり、課税処分を受けて被害を受けることがあり得るのである。
したがって、このような商品についても、金融商品と同様、説明義務などが問題になってくると思われる。
税金を払わなくてもいいという夢のような商品だが、それは、かつて、一円も相続税を払う必要がないということを謳い文句にした、変額保険を彷彿させる。
それだけに、一般消費者の場合には、安易に飛びつくのは危険なように思う。
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