2002年02月06日(水) |
裁判官は、意外と消費者的思考をする |
日経朝刊社会面に、「医薬品の仕入れ価格の公表は適法」という判決についての記事があった。
その裁判は大正製薬と安売りチェーンとの争いで、争点は、「医薬品の仕入れ価格は、取引を通じて知り得た営業上の秘密に当たるか」ということのようである。
その争点に対し、裁判所は、「仕入れ価格は、売買契約を通じて取得したのもので、営業上の秘密に当たらない」と判断したとのことである。
この判断に対しては、売買価格が分かれば、当然に仕入れ価格も分かるのだろうかという疑問はある。 その意味で、裁判所の判断には疑問がある(もちろん、新聞に出ていない事実もあるから断定はできないが)。
しかし、言いたいことはその点ではない。 言いたいのは、裁判官は、意外に消費者的思考をするということである。
つまり、裁判官は、「仕入れ価格を明かしてどこが悪い。悪いのは、仕入れ価格を隠して高額で売る側ではないのか」という気持ちを持ちがちということである。
したがって、本件でいえば、大正製薬側は、裁判官を説得するだけの相当の証拠が必要であり、もともとハンデを背負って裁判していると考えるべきだろう。
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