今日の日経を題材に法律問題をコメント

2002年02月05日(火) 法人登記でミス−法務局は問題である−

 日経朝刊社会面で、「法人登記でミス」という記事が載っていた。

 法務局が、会社の資本金を誤記したが、商業登記法に明文の規定がないため、誤記を抹消することができず、登記簿上はいったん減資したという記録が残るということである。

 会社は、「減資した事実もないのに履歴が残れば、株主らに不安を与え、迷惑だ」と憤っているそうである。

 もっともな言い分である。

 実は、私も、不動産登記で誤記があったケースについて相談されて、同じような目にあったことがある。
 そのときも、法務局は、「誤記を抹消する規定がない」の一点張りであった。


 しかし、これは法律が悪いのではない。行政が悪いのである。

 誤記を抹消する規定を定めていない場合、登記法は、誤記を抹消してはいけないという趣旨なのだろうか。

 確かに、登記申請者が誤記した場合には、登記官は、形式的審査権しかないため、誤記であると分かってもそのまま受け付けざるを得ない。
 したがって、それを抹消するのは、錯誤を原因とする登記によるしかない。

 しかし、問題になっているのは、登記官が誤記した場合である。
 そのような場合には抹消するのが当然のことであり、それゆえ、法はあえて規定しなかったにすぎない。

 むしろ、「減資をしていないのに、いったん減資したという記録が残ってしまう」ことこそ、法の趣旨に反するのではないか。


 前述の不動産登記の件で、法務局に非常に嫌な思いをしたことを思い出し、つい、語気(誤記ではない)が強くなってしまった。 


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