ダイエー再建策の一連の報道で、何度か「産業再生法の活用」ということが報じられていた。
産業再生法というのは、私は知らなかったが、条文を読んでみると、第1条で、その法律の目的として、知識、技能、技術、設備などを効率的に活用して、生産性の向上を実現することと規定されている。 そのために、事業再構築が円滑にできるような特別の措置を講じたり、創業や新事業開拓を支援したり、研究活動が活性化するよう支援するたことなどを定めている。 しかし、基本的には、会社が主体となって事業再構築案を策定し、それを国が支援しようというだけであり、その支援策も限定的である。
したがって、今回のダイエー再建にあたって、その法律の適用が、それほど効果があるとは思えない。 そのためか、新聞報道でも、最初は、「産業再生法の活用」を大きく報じていたが、次第に扱いは小さくなってきている。
ところで、以前、裁判所から法務省に出向して、法律の立案に関わっている友人が言っていたが、役人は、新しい法律を作りたがるそうである。 というのは、法律ができれば、それに基づき仕事ができる、仕事をするためには予算が付くということになるからである。
産業再生法も、条文を読んでみると、「推進するよう努めるものとする。」といった表現が多く、再生のための目に見える効果はあまり期待できそうにない。 その意味で、産業再生法は、先のような、仕事を作り予算を獲得するという官僚の習性から生まれた法律の一つのような気がした。
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