2002年01月09日(水) |
自己責任の原則を身につけるのは難しい |
昨日(1月8日)夕刊の「投資を学ぶ」というコラムで、株式の模擬売買を学習に取り入れている高校が紹介されていた。 記事では、その学習について、「投資につきもののリスクや自己責任の原則を、理屈ではなく身近なものとして実感できる貴重な経験になっている」と評価している。 確かに、自己責任の原則を教えることは重要である。 しかし、模擬売買によって自己責任の原則が身に付くというのは疑問であり、あまり過大視するのもどうかと思う。
投資にリスクがあり、それは自己責任であることを心底理解するのは、自分のお金を使って実際に懐が痛んだときであろう。
たとえば、エンロンの破綻でMMFが元本割れしたが、MMFにも元本割れのリスクがあることを理解していなかった人も結構いたのはないだろうか。 そのような人は、損をして、始めて、どんな投資にもリスクがあり、それは自己責任であることに気がつくのである。(販売する側が、「MMFは元本割れしないから大丈夫」と説明したのであれば、話は別であるが)
これに対し、模擬売買は、損をしても自分の懐が痛むわけでなく、自己責任が実感できる貴重な経験とはいえないであろう。 せいぜい、授業での模擬売買は、経済に興味を持たせる程度の意味しかないと考えていた方がいいのではないだろうか。
何がいいたいかといえば、自己責任の原則を教えることは重要であるが、それを本当に身に付けるのはなかなか難しいということである。
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