2005年02月05日(土) |
タバコを買いに行ったら、タベコしかなかった。続 |
一夜あけた。 タバコがタベコになろうとも、世界はさしたる問題はなく続いている。
幸い今日は土曜日だ。
友人さえも信じられぬ今、 オレは一人で、この謎に立ち向かおうとしていた。
車を飛ばす。
隣町。まだ安心はできない。 そうだ、いっそ高速に乗って隣の県へ行こう。
途中に見えるパーキングエリア。
そうだ。ここは公共交通機関。 ひょっとしたらタバコがまだ残っているかもしれない。
安い期待はすぐに打ち砕かれた。
やはり並ぶはタベコの自動販売機。 タベコを吸う人が喫煙所の周りに集まっている。
「あなたが気づけば、タベコも変わる」
緑のシールがその駄目押し。
タベコの煙でいぶされて、うす汚れている。 とても最近貼られたものとは思えなかった。
どういうことなのか。
疲れて座ったオレのポケットから、タバコが落ちた。
「タベコ、落ちましたよ」
親切に拾ってくれたおばあさんにも、 その名を呼ぶことに躊躇はなかった。
こんな短期間で、 こんな多くの人を洗脳することが、はたして可能なのか…?
…いや。
できる。
そう、
一人だけを洗脳するなら、可能だ。
つまり、オレを。
まさか。
馬鹿な。
しかし論理的に考えれば、その可能性しか――
そんなはずがあるか。
オレが、いつ、人に恨みをかうようなこと、 いっぱいしてるけど、こんな、訳のわからない、 洗脳をするような奴らと、関わったことなんてないぞ!
脳が息切れを起こしている。 考えすぎて何も考えられないという状況にオレは初めて陥った。
そして一番恐ろしいこと――
オレは、何を、された?
〈続〉
|