* 世界一ついてない日常
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2005年02月04日(金) タバコを買いに行ったら、タベコしかなかった。

タバコを買いに行ったら、タベコしかなかった。

どういうことだ。

最初は、自動販売機の誤植かと思った。
ネタになると写真まで撮るくらい、オレにはまだ余裕があった。

だが、お金を入れてボタンを押して、
出てきたのもタベコだった。

マルボロライト。いつものパッケージ。
だが、タバコでは決してないのだ。

オレは心持ち青ざめた。
この自動販売機だけがおかしいのだろうか。

その足で、少し離れた酒屋に向かう。

しかし、そこにあるのも、タベコの自動販売機だった。

まさか。

いったいタバコはどこに行ったんだ?
大体、タベコってなんだ?

…落ち着け。

昨日までは確かに、オレはタバコを吸っていた。
非番で20時間ほど寝て、起きた、それだけだ。

その空白の20時間の間に、何があったというんだ。

友人に電話をかける。

「もしもし」
ああよかった、お前起きていたか。
教えてくれ、オレのいない20時間に、何が起こったんだ?
「なにが」
タバコがないんだ、どこにも。
「タバコ?」

そして友人はとんでもないことを言う。

「タバコってなんだ?」

――我が耳を疑った。

馬鹿野郎、オレがいつも吸ってるやつだろうが。
「ああ、タベコか。」
タベコ?!
タベコってなんだ。
「お前がいつも吸ってるやつだろ?」
待てよ。それはタバコという名ではなかったか?
少なくとも昨日までは、タバコだったはずだぞ!
「だからタバコって何なんだよ。俺忙しいからもう切るぞ」
待て!待ってくれ!

ツ――――――

これは何かの陰謀か。
町が一夜にして洗脳されたのか。

            〈続〉


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