そして連れて行かれた道場。
あ、あれ真ん中の人、写真で見たことある! そうだ新撰組の近藤勇だっ! 「呼び捨てるな!失礼だろ!」 げんこつ口に入れるんでしょ?やってやって 「声がでかい!」
近藤が振り向いた。
「なんだね君は。いきなり人を口がでかいみたいに。」
おおっしゃべった!すげえ! だって虎鉄の次に有名ですよ。トリビアの泉でもやってたし。
「参ったな。歳、有名だとよ」 「いいから入隊試験だ。沖田君、立ち会いたまえ」
竹刀を持たされる。剣道なんて中学のとき以来だ。 え? ちょ、ちょっと待て、沖田総司に勝てるわけないだろ!
天然理心流、平青眼の構え。
もうこうなったらやけくそだ。こっちも構え…ようとして。 脳裏に駆け巡る、刑務官必携「矯正護身術」。 〜振り上げ〜 1 棒持つ手を左で抑え、 2 右で取り、 3 右後ろに後退しながら脇固めで制する
「え?」
ほい!ほい!えいっ! 気がつくと私は竹刀を捨て、相手の右腕を脇固めで制していた。
「なんじゃそりゃー!!」
その場にいた全員につっこまれる。 しまった、体が勝手に…
「ちょっと!まだ開始って言ってないでしょう! だいたいこの状態からどう攻撃するんです!」
えーと、携帯で同僚を呼び、保護房へ連れて行く。
「連れてくなんて悠長な。早く竹刀を拾いなさい!」
「いや、総司、お前の負けだよ」
「近藤さん!」
「今は毎日が戦だ。もし市中でこの男が仲間を連れ 相打ち覚悟で挑んできたら、お前は斬られていた。
よろしい。君、一番隊隊士として採用しよう。」
かくして私は判定勝ちで勝利!! 本当に新撰組隊士になる羽目になったのです。
公務員、恐るべし!!!
〈続〉
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