* 世界一ついてない日常
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2003年10月19日(日) カラオケ屋のフライドポテト

今日はフライドポテトを食べに、再びカラオケ屋に行きました。

ん?そうです。
今日のメインはフライドポテト。
きっちり2時間コースを頼んだけど、まあそれはそれ。

前回当たったサービス券を渡し、ボックスに入ります。
…えーと。
今日はそういうテーマで来てるんだから、
やっぱそういう、旨そうな曲でいきましょう。

ぴぴぴぴぴ。送信。

たららららったー♪
♪嗚呼〜腹がすく〜♪えらくもないけど〜♪
鳴き出しそうな腹の虫に〜♪フライドポテト〜♪

そうして半分ほど歌ったところで、

こんこん。
「失礼しまーす」

来た来た。

ほこほこ。
湯気を上げて私の胃袋に入るのを待っているポテトども!

…待て待て…これ歌ってからだ。

「♪焼けたポテトに・ケチャップつけて♪」

っておいこらっ!先に食うんじゃない愚友!

「嗚呼〜腹がすく〜♪えらくもないけど〜♪もぐもぐ」

この野郎、歌うな!…じゃない、歌ってろ!

…マイクの押し付け合い。
いつもは取り合うくせに、何を急に友愛精神に目覚めているのか。
そして右ストレートが決まる。

さて、いただきまーす。

…え?

目の前に現れるは普段マックで見慣れた拍子木形ではなく!!!
乱切り形であった。
それはまるで、すんでのところで
“キサン、薩摩じゃなかでごわすな!!”とばかりに正体見破られ、
大学ポテトになり損ねたジャガ藩の者のごとく。

え――拍子木にしてよ――
もともと短冊切り、いや千切りでもいいくらいに
カリカリ感を好むこの私であるのに。
(…ていうかさっきから拍子木って何?って置いてかれてる人!
あんた料理くらいできんと大人にはなれんとよ。)

胸をよぎる一抹の不安。

恐る恐る…爪楊枝を手に取り、さくっ。
ひぃぃぃぃいいいい!!愚友!たいへんだ!!

「うるさいよ。何だよ。」

今、一ミリほど、ぶこっ、ってへっこんだ…
さくっ、が好みなのに!!

「いいから食えよ」

ま、うん、一ミリなら熟考の余地はある。うん。

一口ぱくり。

――む!!?

「なんだよ。うまかったのかまずいのか」

二口ぱくり。

「おいせめて何らかのリアクション示してから次行けよ」

――。
私はあやうく大声を上げかけた。
ポテトが喉に詰まってなければそうしてやったところだ。

「水!」

私はあやうく昇天しかけた。

「お前さ、もっと優先順位考えて生きろよな」

おい愚友!だまされるな。
こいつはフライドポテトではないぞ!ジャガイモの揚げたやつだ。

「どっちも同じじゃねえのか」

間違いない。天ぷらのころものないジャガイモ天ぷらだ。

「まーいいや。お前食ったんなら俺も食うぞ。」

早まるな!私の忠告を聞け!これは

「うんうまい」

なに――?!
うまいわけがあるか。
これはフライドポテトではないぞ!
私の嫌いな、フニャイドポテトだ!!

「俺やわこいポテト好きだよ」

何だと?!お前大学で何を習ってきたんだ!!
フライドポテトはフニャイドポテトになり得ても、
フニャイドポテトはどう逆立ちしてもフライドポテトにならない!
不可逆エントロピーの公算によると

「ケチャップ染みてうまいよ」

もう!お前なんか嫌いだ!絶交だ!
このアホ愚友!お前のようなやつとはもう口を利かん!!

「♪君の手でー楊枝刺してー♪」

おい聞け!愚友!
しかもお前どさくさに紛れて半分以上食いやがったな!?

「遠い日のー♪記憶ーだー♪」

そう…私は学生時代、酔って行った(だから覚えてない)
カラオケ屋で食べたフライドポテトの味が、忘れられないのだ。

ここも違ったか…。

私はそう独りごちると、カラオケ屋を後にした。

「待て!そうやって支払い俺に押し付ける気だろうが、そうはいかん」

後にしなかった。

そして2時間歌った。

そしてこの店のフニャイドポテトは二度と食うまいと誓った。

そして割り勘で会計を済ませ、くじ引きをした。

またフライドポテトサービス券をもらった。

また来よう。


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