* 世界一ついてない日常
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2002年02月01日(金) 正しい不良になるために・入門編

今日から不良です。
新しいことを始めるのはなんか清々しい気分です。

じゃーん。
金色ヘアカラーとポマードも買ってきました。
それからタバコ、酒、ボンタン、
金のチェーンリストにネックレスにヘビーな腕時計。
バイクは高くて買えなかったので、
自転車を改造してうるさい音出すことにしました。

いえーい行くぞ!夜露死九!
「おい!」
あ、昨日の不良だ。
「お前だって不良だろうが!…って、なんだその格好……」
だって君が不良になってこい、つったから。
ちゃんとわかってるでしょ?
「わかってない!」
えっ。
「今時ポマードもボンタンも眉ソリもやってるやついねーよ!
 しかも夜露死九って!もっと流行を気にしろよ!」
流行があったのか!
「そう。それからその偉そうに見せびらかしてるタバコと酒!
 あんたハタチ越えてんだからダメだよ!普通だよ!」
あっ そうか。
「それからなんだよその趣味の悪いヘビの時計!」
ヘビーな腕時計。
「遊んでんじゃねえんだぞ!」
ご、ごめん。
おかしいな。なんか違ったらしい。
「ちょー、もう、オレの服貸してやるから来い!」
連れて行かれる。

なんだ、普通のアパートじゃないか。
「……何を期待してたんだ」
いや、ほら、全館トゲトゲでBGMにロックかかってて、
ドアとかも黒と金になってて廊下にはうんこ座りしてて、
部屋にはガソリンが撒かれ壊れた酒瓶鉄パイプも散乱し、
昼飯も金縁の黒い皿でスプラッタにケチャップまみれ
「するかよ!ていうかそんなアパートやだよ!」
なんで!
「お前な、不良つーもんは、一人のときは普通の人なの!」
そ、そうなんですか?!
「迷惑する人が周りにいてこその不良だろーが?
 誰も見てないのに不良してもしょーがねえだろ!」
そうか…不良ってサービス業だったんだ…
「ちょっと違うがな。ほら、服」
普通!!
「いちいちうるせえな!
 よく見ろ。ここ、チェーン仕込んであるんだ」
おっ!
「…急に嬉しそうな顔すんなよ。おい振り回すなって」
これが武器ですね!敵はどこですかっ!
「…。お前ゼッタイRPGかなんかと間違えてるだろ。
 いいかこれは脅し用!こんなもん町中で使えるか!」
恥ずかしいから?
「んー。まあな。
 それに武器使ったら一般人とも互角になるだろーが」
じゃスタンガンは?
「よく知ってるな。あれは地味だから脅しにならねーの!」
催涙スプレーは?
「あのな、女子中学生じゃねーんだぞ!ったくバカが。
 じゃ、行くぞ!」
おうっ!
パパラパパパラパ〜♪
「……なんだよそれ」
パパラパ。昨日徹夜で用意しました。えらい?
「えらくない!チャリにカセットテープ、
 しかもお前の声じゃねーかよ!」
だってレンタル屋にないし。
「くそっ バカは不良よりたちがわるい。」
ごめん。
「まあいいや、兄貴んとこ行くぞ。ほら地図。
 事務所行くのはオレも初めてなんだ。」
パパラパパパラパ〜♪
「それはやめろ!!」

なんだかひどく迷惑をかけている気がするのだが、
とにかく私は彼についていくことにした。かくして入門編・完。


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