山ちゃんの仕方がねえさ闘病記
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とうとうサイボーグになる日がやってきた。感慨深いものがある。でも体内に入る金属は装具だけで計器類ではないのであまりロボットチックではない。
朝早く両親と娘二人がやてくる。それぞれ「頑張って」と声をかけてくれる。 向かいの老人は、看護婦に「頑張ってね」声をかけられたのに対し、 「頑張んねぇ」と応えていた。そりゃそうだ。頑張るのは執刀する医師たちのほうだ。患者が頑張るのは手術後だよ。
手術へ入る。ここが手術室か。テレビで見るのと一緒だ。 「麻酔しますよ。この匂いに慣れてね。」 目の前にマスクをかざす。刺激臭がして一瞬むせる。そしてすぐにマスクをかぶせられた。「ストン」とまるで音がするかのように意識がなくなる。「落ちる」という表現が適当ではないか。ここからの記憶は全くない。 酒を飲んで「ホンズ」を落としたときも記憶がなくなるが、決定的な違いは、前者は全く何もわからないのに対し、後者はところどころ部分的に知っていたり、後で思い出すことがあることである。
「山村さん、手術終わりましたよ。胃の管を抜きますよ。」 鼻から挿入していたチューブが引き抜かれる。それに反応し体が反り返り激痛が走る。手術台からベッドへ移される。また激痛。病室へ戻ると家族の不安そうな顔、顔、顔。
激痛で何がなんだかわからない。あとはただただ耐えるだけ。
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