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2008年11月02日(日) ■ |
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ジグソーパズル製造会社を驚愕させた「某有名アーティスト」 |
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『オトナファミ』2008・December(エンターブレイン)の記事「マジカル・ファクトリー・ツアー Vol.9 ジグソーパズル工場」より。
(創業54年、ジグソーパズル業界でトップクラスのシェアを持つ「やのまん」の工場のレポート。「やのまん」の生産物流課リーダー・田中宏美さんへのインタビュー「パズル作りの達人に訊く」から)
【Q:パズル製造で重要な点は?
A:紙の厚さですね。厚さでピースをハメる時のフィット感がまったく変わります。フィット感もパズルの楽しみですからね。
Q:パズル製造で最も気を使う部分は?
A:ピースの紛失が起きやすい、バラシの工程(機械で切り抜きを入れたパズルの台紙を人間の手でバラバラにしていく作業)が気を使います。他にも抜きの工程で、ズレや切り残しが無いよう注意します。
Q:ピースは、何故あの形なんですか?
A:組むときに、バランスがいいんですね。崩れづらいですし。ちなみに、難易度を下げるには目印となる変形のピースの割合を増やします。逆に難易度を上げるには、細かい桜の花が散っている絵を使ったり、空など単色の面積を増やしたりします。
Q:今までに何か事件はありましたか?
A:10年程前に、あるアーティストの初回特典パズルをひと月で230万個作ったことがありました。この工場だけでは対応しきれないので、日本のパズル会社ほとんど全社と協力しました。そのとき、私はすべての工場の進行管理をしていたので、毎日徹夜でフラフラでした(笑)。
Q:過去に一番売れたパズルは?
A:”恋人たちのパリ”という一連の商品ですね。どの商品も万単位で売れました。】
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世界初のジグソーパズルは1760年頃にイギリスで最初に作られ、最初は木製だったのが、後に安価な紙製となり普及していったそうです。 「やのまん」は、当時の『モナリザ』ブーム(1973年に『モナリザ』来日が決定し、1974年に東京国立博物館で公開)に乗って1973年にから『モナリザ』のパズルの輸入販売を開始し、パズルブームを巻き起こしました。 その翌年から自社工場を設立し、日本初の国産パズルを発売。これまでに約1万種類のパズルを製作してきたそうです。 ジグソーパズルの「ジグソー」というのは、「糸のこ」の意味で、初期のパズルは、糸のこで板を切って製作したことに由来するのだとか。
この記事を読みながら、僕は「いちばん最近ジグソーパズル作ったのって、いつごろだったかな……」と思い返してみたのですが、少なくともここ10年くらいは作った記憶がありません。妻は、2年くらい前にけっこう大きいのを完成させていたのですけど。
「日本のジグソーパズルの歴史」は、35年間。僕よりほんのちょっと年下です。 そして、僕の記憶のかぎりでは、ちょっと大きな玩具屋やデパートには、ずっと「ジグソーパズル」がありました。 「ジグソーパズル大好き!」っていう人にはいままでお目にかかったことがないし、大ブームになった記憶もないのだけれど、いろんな玩具や趣味の流行り廃りがあるなかで、これだけコンスタントに売り場に存在し続けているのは、驚くべきことですよね。 ゲームウォッチがプレステ3にまで進化しても、「ジグソーパズル」は、昔とほとんど同じ姿で愛され続けているって、すごいことなのではないかと。
田中さんのお話によると、パズル製造で最も重要な点は「パズルの紙の厚さ」なのだそうです。 ここで紹介されていたパズルの厚さは約2ミリ。「チップ」と呼ばれる台紙(1.9ミリ)と絵柄を印刷した薄い紙(0.1ミリ)を貼り合せてつくられます。 薄い紙を切ってバラバラにして「パズル」を作ってみてもあまり面白くないのは、あのジグソーパズルの「ピースがパチッとはまる感覚」がないからなのでしょうし、ジグソーパズルの楽しさというのは、むしろ「身体で感じるもの」なのかもしれません。 ジグソーパズルはけっこう場所をとりますし、僕はすぐピースを失くしてしまうので、「コンピューターのパズルゲームでいいや」なんて考えてしまうのですが、いまでもジグソーパズルが地味ながらも売れ続けているのには、それなりの理由があるのでしょう。
ちなみに、この「あるアーティストの初回特典パズル」というのは、1998年に発売された『B'z The Best "Pleasure"』の特典のようです。 ものすごく話題になり、売れまくったあのCDの陰で、「パズル製造会社」も、こんなにすごいことになっていたとは。
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