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2007年11月03日(土) ■ |
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『オリジナリティがない』は、バカな編集者の常套句 |
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『マンガを読んで小説家になろう!』(大内明日香・若桜木虔共著:アスペクト)より。
(コラム「バカな編集者は『オリジナリティがない』と言う」の一部です)
【あなたがデビューしたときに、最初につく担当編集者さん、この人があなたの作家人生を決めると言っていいです。いろんな意味で。 最初に優秀な編集者さんがついた人はラッキーです。あなたの人生には素晴らしい作家生活が開けていることでしょう。 最初にバカな編集者がついた人は、不運です。 ありとあらゆる場面で、この人はあなたを悩ませ、あなたの足をひっぱることでしょう。
そんなバカな編集者が連発するセリフに、
「オリジナリティがない」 「キャラが立っていない」
というのがあります。 このセリフが意味するところは、ひとつ。
「その編集者は、オリジナリティがない、と感じた作品を批評するだけの脳みそを持っていない」 ということです。
料理評論家はまずい料理を食べたときに「まずい」とは言いませんよね。どこがどう悪いのかきちんと指摘するはずです。 小説も同じこと。 オリジナリティがない、などと言うことは誰にでもできる批評です。キャラが立ってない、もしかり。 幼稚園の感想文じゃねえんだ!って感じですね。 ましてや編集者という職業は、小説を批評するだけでなく、その小説の良いところと悪いところがわかった上で、面白い作品になるよう、作家を導くのが仕事の一つでもあります。
この2つのセリフを連発する編集者は、「あなたの作品をきちんとした売れる方向に導く力」はありません。訓練されたプロとは到底言いがたい。 「オリジナリティがない」「キャラが立ってない」 と連発する編集者とはおつきあいしないことをお勧めします。 ただし。 その「オリジナリティがない」と言われた作品はやはり、読者からも「オリジナリティがない」という評価を受けることは間違いありません。
オリジナリティがないのは悪いことではありません。 問題は、「オリジナリティがない」という言葉で批判されるあなたの作品の「つまらなさ」が問題なのです。
オリジナリティがなくても面白い作品は、「オリジナリティがない」とは言われないものです。】
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「オリジナリティ」っていうのは、かなり都合よく使われている言葉なのではないかと僕も思います。 「オリジナリティが無い」っていうのは、「知ったかぶりして他人の作品に文句をつけたいとき」には、とても便利なんですよね。 そういう批判をする人に対して、「じゃあ、具体的にこの作品のどこが何という作品に似ているのか?」と尋ねても、「○○という作家の『××』という作品」と即答できることは、おそらくほとんどないはずです。 オリジナリティが無い、というような「全否定」の根拠は「いつかどこかで似たような作品を読んだことがある」というような、とても曖昧な理由であることが多いのです。考えてみれば、「オリジナリティが無い」というような批判そのものが「オリジナリティが無い」のです。
そもそも、本をたくさん読んでいる人は比較対象も多くなるので、「どこかで読んだことがあるような話」も増えてきます。そういう人たちにとっては、「オリジナリティが無い」という批判のしかたは、相手は反論しにくいし(だって、作者としては「この作品にはオリジナリティがある!」とは言えないですよね。そういうのは自分で主張するものではないだろうから)、自分の「知識の深さ」をアピールできるしで、いいことづくめ。 しかしながら、これは少なくとも、「プロの評論」としては落第点でしょうし、アマチュアであっても「他人の作品を評価しようという姿勢」としては、不誠実ではありそうです。
まあ、これは「編集者」あるいは「評論しようとする人」の話であって、普通の読者はそこまで「つまらない作品」に付き合い、「どこがオリジナリティの無いところなのか?」を分析してあげる義理はないでしょう。
ただ、僕はやっぱり、「オリジナリティが無くても面白いからいいじゃないか!と開き直った作品」よりも、「オリジナリティがある、面白い作品」を読みたいですし、創作をする人には、それを目指して欲しいと願ってはいるのです。 そういうのって、本当に稀有な作品なのだろうな、とは思うのですけど。
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