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2007年04月20日(金) ■ |
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「好きな人ができない」人のための「恋愛スコープ」の使用法 |
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『日々是作文』(山本文緒著・文春文庫)より。
【しかし恋愛に学校はない。こればかりは我流である。我流ではあるが、十五歳で初めてボーイフレンドというものを持ってから幾歳月。好きこそものの上手なれ。数え切れない程の恋愛失敗事例をもってして、少しでもみなさまのお役に立てたらと思います。 基礎の基礎なので、まず「好きな男性の作り方」からですよ。 というのは、最近まわりの三十代女性数人から「好きな人ができない」と相談をもちかけられたのだ。「え?」と耳を疑った。私なんか好きな男の人なんかすぐにぼろぼろできるけどな。それともゲートボールのゲートくらい私の男性に対するハードルが低いのか。 好きな男性。それはいないよりはいた方が楽しいじゃないか。うまくいくとかいかないとか、結婚してるとかしてないとかは置いておいて、まったく誰にもときめかないというのは日々の張りとしてどうだろう。楽といえば楽なので、その方がいい人は無理して作る必要はまったくないと思うが、彼女達は「好きな男性が欲しい」と訴えているのだ。 そのうちの1人が「山本さんはいつもスイッチ入ってますもんね」と気になる発言をした。恋愛スイッチが常にオンの状態だというのだ。失敬な、と最初思ったが、よくよく考えてみると、もしかしてこういうことかもと思い当たった。 私は彼女に質問してみた。 「SMAPで好きなのは誰?」 「うーん。全員」 これだ、これ。男性の群を眺めるとき、私は無意識に「好きな順番」あるいは「マシな順番」をつけて見ている。大勢の飲み会ではもちろんのこと、年配のおじさましかいない会食の席でも、男性が6人いたらAからFまでマイ順位をつける。その基準は、歳も肩書きも関係なく単なる「見た感じ話した感じ」であり、その後どうこうしようとはりきるわけではない。たった一度しか会わない人達でも、言葉さえ交わさない人達でも、ターミネーターに装備されているスコープのようなもので男性陣にランク付けをする。もし男性陣が聞いたら「お前にEだのFだの言われたかねえよ」と言われることは重々承知の上である。だからSMAPだってキムタクだったり慎吾ちゃんだったり日によって変わるが、必ず一番からビリまでいるんである。 この勝手な恋愛スコープで世の中を見ている女性は稀有なのかと、まわりの人達に聞いたところ案外いた。例外なく恋愛に積極的で、痛い目にあってもへこたれない強者どもだった(夢の跡だったりもしているが)。 そんな目でいちいち男を見るなんて媚びてるみたいだし発情しっぱなしみたいで気持ち悪い、と思った方は一生そうしていて下さい。何もしない「ありのままの自分」という努力しない状態のままで、王子様が現れる奇跡を煎餅でもかじりながら待っていて下さい。 順位付けの練習をしておくと、いざとなったときに瞬発力が違うように思う。無意識のうちにAの人にあなたは話しかける癖がつくはす。それがまず第一歩。 さあ、たった今から恋愛スコープをつけてまわりを見渡してみよう。つまらない会社もつらい通勤電車も、スイッチを入れるだけで違う色に見えるかもしれませんよ。】
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うーん、すごいなあ、この「恋愛スコープ」という発想は。これを読んでいて、モテない人生を送ってきた僕は、なんだか目からウロコが落ちたような気がしましたよ。ああ、この本をもっと早く読んでおけばよかった、と。 僕は合コンには、付き合いで何度かしか行ったことがないのですけど、そんな席で男の友人から必ず聞かれる「お前、どのコがいちばん好き?」という問いがものすごく苦手でした。自分に自信がない僕としては、「いや……僕みたいなカッコもセンスも悪い男が、ここにいる女の子をあれこれ品定めするなんて、失礼なんじゃないか……」と。 実際は、だからといって、友人にわざわざ「そんなの失礼だよ!」と反論するわけでもなく「うーん、なんかピンとこないねえ、あはははは……」というようなリアクションを返しつつ、カラオケボックスの風景の一部になっていたわけです。
でも、考えてみたら、確かにこういう「習慣」をつけておくのって、「好きな人をつくる」ためにはものすごく大事なことなんですよね。例えば、ライオンが、シマウマの群れを見かけたとします。それで、「とにかくやみくもにシマウマの群れに突撃していく」というライオンと、まず「どのシマウマが捕まえやすいか、あるいは、美味しそうか」というのを見極めて、「ターゲットを絞って迫っていく」というライオンとでは、どちらがより狩りに成功する確率が高いか、という話です。やっぱり、後者のライオンのほうが、狩りはうまくいきそうですよね。
僕の記憶を辿ってみても、「恋愛強者」の多くは、男性でも、こういう「恋愛スコープ」を持っていたような気がします。「女の子をいちいちランク付けするなんて、自分がモテるからって嫌な野郎だ」と僕は軽蔑していたのだけれども、逆に、そういう姿勢で常に「恋愛スイッチをオンにしている」からこそ、彼らはモテていたのかもしれませんね。
この「恋愛スコープ」、「なかなか好きな人ができない」と悩んでいる人は、一度試してみる価値はありそうです。 常に女性の恋愛スコープから「EかF」と認定されるであろう僕としては、そんな女性ばかりの世の中というのは、あまりに殺伐としすぎているのではないか、と悲しくなってしまうのですけど。
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