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2006年10月19日(木) ■ |
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それなら、「銀河鉄道999」もパクリではないのか? |
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スポーツニッポンの記事より。
【漫画家の松本零士氏(68)が代表作「銀河鉄道999」のフレーズを盗作されたとして、歌手の槇原敬之(37)に抗議していると、19日発売の「女性セブン」が報じており、松本氏はスポニチの取材に「私の言葉を奪われた。どうしてごめんと言えないのか」と怒りが収まらない様子。槇原側も「盗作呼ばわりされて嫌な気分。法廷で争ってもいい」と不快感をあらわにし、全面対決の様相だ。 問題となっているのは槇原の作詞作曲で人気デュオ「CHEMISTRY」が今月4日に発売した新曲「約束の場所」。スープのCMソングとしてお茶の間にも流れ、オリコンチャート4位に入るなどヒット中だ。 松本氏が「盗作」と断じているのは、「夢は時間を裏切らない 時間も夢を決して裏切らない」――というサビの部分。これが「銀河鉄道999」(小学館刊)の第21巻に登場する「時間は夢を裏切らない 夢も時間を裏切ってはならない」というフレーズに「そっくりだ」と主張している。 これは主人公の星野鉄郎のセリフとして使われるだけでなく、作品全体のテーマにもなっている言葉。松本氏は「私のスローガンのような言葉。これを題目に講演会などで若者にエールを送っており、ファンにはなじみ深い。彼が知らないわけがなく、勝手に使うのは盗作」として抗議した。 両者の話し合いが持たれたのは先週末。松本氏によれば、電話で2度話したところ「当初は“知らない”と言っていたが、2度目は“どこかで聞いたものが記憶にすり込まれたのかも”とあいまいな説明に変わった」という。さらに、16日にレコード会社幹部が謝罪に訪れ「槇原本人が“記憶上のものを使用したかもしれない”と半ば認めたとの説明を受けた」と強調。「本人の口からきちんと謝ってほしい」と求めている。 これに対し、槇原の所属事務所は「槇原が自分の言葉で作ったもの」と完全否定。「銀河…」を読んだことすらないとし「そこまで盗作呼ばわりされたら、先生の“銀河鉄道”というタイトル自体、先人が作った言葉ではないのかと言いたくなる」と不快感をあらわに。「ぜひ訴えていただいて…」とまで語り、法廷で争うことも持さない構えだ。】
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僕はこの記事を読んで、なんだかとても悲しい気分になってしまいました。確かに「銀河鉄道」という設定はパクリだから宮沢賢治に謝れ!とかいう話になってくると、もうこれは泥試合になってしまうことは目に見えてしまうわけで。 この「夢は時間を裏切らない 時間も夢を決して裏切らない」という歌詞が、松本零士さんの作品中の言葉に「酷似している」のは事実ですし、槇原さん側は否定しているようですが、「どこかで読んだり聞いたりして、影響を受けている」可能性は十分にあるはずです。でも、こういう言葉って、どこにでも転がっていそうでもあるし、「自分のもの」だと主張するには特殊性に欠けるし、「彼が知らないわけがない」と言えるほど「松本零士の言葉」として世に知られているかと言われると、ちょっと苦しいのではないかと思われます。 この記事の内容からすると、最初に槇原さん自身が「松本さんのマンガを読んだりお話を聞いたりしたときに、その内容が耳に残っていたのかもしれません」と直接「謝罪」していれば大きな問題にはならなかった可能性もありますが、槇原さん側としても自分の記憶にはっきり残っているわけでもないのに、そう簡単に「言葉を借りました」とは言えないでしょうし。まあ、少なくとも「ものすごく似ている」のは事実ですから、槇原さんは松本さんに直接「説明」すべきだったのではないか、という気はします。ただ、「あの歌詞はオレの作品からの盗用だ!」ってアーティストや小説家に抗議してくる人はものすごく多いらしくて、個別に対応していたら、キリがなくなってしまう、という話を聞いたこともあるのです。 あからさまな「盗用」ならさておき、このくらいならば、「ああ、オレの作品に影響受けてるんだな、このアーティスト」と、苦笑するくらいで良いのではないかな、と僕は思うのですが。 作家にとって「自分の言葉」っていうのが大事だというのはよくわかるのですけど、結局、「本当に誰の影響も受けていない表現」なんて、この世には存在しないのではないでしょうか。 しかし、「アーティスト」っていうのは、つくづく「自意識過剰な生き物」みたいです。僕には、そんなに珍しい言葉でも、わざわざ「盗用」するほどの表現でもないようにしか感じられないのだけれど。
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