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2006年10月18日(水) ■ |
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「俺が光GENJIで、あとはその仲間たち」だった頃 |
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「CONTINUE Vol.29」(太田出版)のインタビュー記事『電池以下』(吉田豪・文、特別ゲスト・掟ポルシェ)の「第30回・諸星和己の巻」の一部です。
【吉田:「芸能人がモテなくてどうするんだ」とも著書に書いてありましたけど、それはホントにその通りだと思うんですよね。
諸星:ですよね。変な話、モテなくてアイドルやってられますか? もともと、この世界にあんまり興味なかったし、レコード大賞取ったときにはもう辞めたかったの。そのうち僕が天狗になって、解散みたいになっちゃったんだけど。
吉田:ダハハハハ! 諸星さんが原因で!
諸星:でも結局、原因は僕のせいみたいになってますけど、裏は違うっていうか。ただ、それでも僕がジャニーズが好きなのは……いや、ホントは嫌いなんですよ(笑)。
吉田:どっちなんですか(笑)。
諸星:嫌いだけど、あの人の発想が好きで。僕が両足骨折したことがあるんですよ。スケート履けないからどうしようって話になったときに、ジャニーがなんて言ったと思います? 車椅子じゃないんですよ。「ユー、ギブスにタイヤ付けろ!」って(笑)。その発想は好きなんですよね。誉めたくはないけど、「すげえな、この●●」って。
吉田:載せられないですよ(笑)。まあ、著書でもハッキリ言ってましたよね、「ジャニーさんは俺のこと嫌ってたと思うし、俺自身も好かれたいと思わなかった」って。
諸星:そう、知ったこっちゃないし。でもいまそれを思うと、逆に僕は感謝してる。
掟:ジャニーズの方にお話を聞くと、ジャニーさんの悪口は全然言わないですよね。
諸星:僕だけですよ、悪口言うのは(笑)。
吉田:でも、ローラースケートを履かされるのって最初は嫌じゃなかったですか?
諸星:うん。それで合宿所でブラブラして、男闘呼組の成田昭次と一緒にギターいじったりしてたら、ジャニーが「田舎に帰れ!」って言うんですよ。「拾ったのはお前じゃねえか!」って言いながら、帰るフリして小田急線の小田原駅で寝泊りしてね。
吉田:またホームレスに戻って(笑)。
諸星:でも、それは別に嫌いじゃないんで。
吉田:最初の『夜のヒットスタジオ』出演でローラースケートで転んだとき、ジャニーさんに「お前がこんなのやらせるから恥かいたんだ、この野郎!」って噛みついた話も大好きだったんですけど、光GENJI時代の『根性(90年/集英社)って著書と比べると描写が全然違うんですよね。
諸星:これはやらせですもん。これこそ人を騙す本ですよ(笑)。あのときは「帰れ!」って言われても田舎に帰れないじゃないですか? で、「だったらテレビに出ろ!」って言われて、最初は光GENJIの一番端で踊ってたんですよ。そしたら『夜ヒット』で転んで、頭にきて泣きながらトイレでスケートを便所に流して。そしたら「ユー、よかったよ!」なんて言ってるから「なにがよかったんだよ、このタコ!」「てめえがこんなもん履かせるからいけねえんだよ!」って、大喧嘩ですよ。
吉田:よくそこから立ち直りましたよね。
諸星:そこでなぜか「また転ぶんじゃないか」って注目されるようになって、タレントさんから応援されたんですよ。それで、端から真ん中になって。で、やっぱり人って誉められたりすると調子に乗るんです。
吉田:調子に乗ったから、『紅白』の控室で少年隊の植草さんと大喧嘩したりして。
諸星:だって人の帽子にポコチンの絵描かれたら怒りますよね。いくら先輩でも……。
吉田:それで先輩に殴りかかって(笑)。
諸星:そのときは光GENJIがガーンッていっちゃってるから、「俺が日本を動かしてる!」ぐらいの気持ちだったんですよ。だって、そのとき言ってたのが「俺が光GENJIで、あとはその仲間たち」ですから。「誰だと思ってんだ!」「来い、コラ!」って始まって。TUBEの前田ちゃんが止めるわ、誰が止めるわで。「もう『紅白』なんて出ない!」「紅組勝ちゃいいんだろ! なんで大晦日に歌ってなきゃいけねえんだよ、口パクで。いい加減にしろ!」とか言って。
掟:正月くらい休ませろと(笑)。
諸星:「パクパクしてる場合じゃねえんだよ、金魚じゃねえんだから」って。そしたら南こうせつさんとさだまさしさんがきて「やめなさい。あんたたちはね……」て。
吉田:止め方も弱いですよね(笑)。
諸星:そしたらサブちゃんが「やめろぉぉぉぉ〜っ!」って。その年の大トリですから。「何時だと思ってんだぁぁ〜っ!」て腕時計を見せられたら、ダイヤモンドが大量に入ってて文字盤も見えなくて、何時かわかんあいんですよ。そのとき負けたと思って。
掟:北島三郎が日本を動かしていた(笑)。
諸星:でも、当時は自由すぎるくらい自由にやってましたね。みんなと楽屋も違うし。
(中略)
諸星:いまナオミ・キャンベルが家政婦やアシスタントを殴って裁判になってるけど、そしたら俺なんかとっくに刑務所入ってますよ。だってホテルぶっ壊しましたからね。
吉田:それも部屋が狭いってだけで(笑)。
諸星:だって狭いんだもん(あっさりと)。
掟:我慢って言葉はないんですか!
諸星:閉所恐怖症なんで(あっさりと)。
吉田:じゃあしょうがないですね(笑)。
諸星:「しょうがないんで、じゃあやります」「壁壊します」って穴開けちゃって。
吉田:ホテルで消火器をぶち撒けたときも、やっぱりそんな感じだったんですか?
諸星:そうですね。ワンフロア貸切なんで、廊下でタバコ吸ってるヤツとかいるんで、危ないから消火器を撒いとこうかなって。
吉田:無茶苦茶ですよね、ホント。追っかけの女子も殴るし、白タクも殴るし(笑)。】
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このインタビュー、昔、光GENJIに熱をあげていた女子たちが読んだら、いったいどう思うのでしょうか、あまりに凄すぎる、もと光GENJIの諸星和己さんの「全盛期」のエピソードの数々。
僕は以前、「X」の「ヨシキ伝説」として、「『カレーが辛すぎる!』という理由でステージをキャンセルして帰ってしまった」というのを聞いて驚愕したことがあるのですが、この「部屋が狭すぎる」という理由で壁を破壊したという話は、その「ヨシキ伝説」をはるかに凌駕しています。というか、ホテルの部屋の壁なんて、そう簡単には壊れないと思うのですけど、いったいどうやって壊したんだろう…… ここで書かれているさまざまな当時のエピソードは、今こうして読んでみると「武勇伝」のように思えなくもないのですが、当時諸星さんと実際に接していた人たちは、本当に辛かったと思います。「人気」があれば、芸能人ってこれでも許されるのか!と驚くばかりです。当時の僕たちは、こんな「裏話」なんて、全然知らなかったのですから。
なんだか、この話を読んでいくうちに、ワガママで無茶苦茶な人のようなイメージを持っていたジャニーさんに対して「こんな猛獣みたいなタレントたちを使っていかなければならないなんて、ラクじゃないよなあ」と同情してしまいまったくらいです。まあ、ジャニーさんも「ギブスにタイヤつけろ!」なんて言う人ですから、結局のところは、どっちもどっちというか、お互いに「懲りない人々」なのでしょうけど。 でも、多くの人が芸能人に求めるものって、実際はこういう「普通は絶対にできない(やらない)こと」だったりするのかもしれませんよね。ハリウッドのセレブの「奇行」を読むたびに、それもまた「商品」の一部なのかもしれないな、と思うようになりました。たぶん、当時光GENJIのファンだった女子たちは、「かーくん」が壁をぶち抜いても、「男らしい!」とかキャーキャー言って全肯定していたような気もしますし。 それにしても、こんなに他のメンバーに迷惑かけていたにもかかわらず、あの光GENJIのなかで今でもいちばん有名なのは諸星さんなわけですから、芸能界っていうのは、本当に怖い!
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