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2006年09月26日(火) ■ |
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「ゴミを捨ててくれない」高級ホテルの流儀 |
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「その道のプロが教える『一流の客』といわれる技術」(知的生活追跡班[編]・青春出版社)より。
【連泊したホテルでの出来事だ。初日に部屋で仕事をし飲み食いもしてかなりのゴミが出た。客室の小さなゴミ箱はすぐにいっぱいになる。仕方ないので入りきらない空のペットボトルを、それが明らかにゴミだとわかるよう、ゴミ箱にくっつけて部屋を出た。 夕方戻ってみると、部屋は綺麗に清掃されている。もちろんゴミ箱も空の状態だ。だが捨てたつもりのペットボトルだけ、相変わらずゴミ箱と並んで放置されていたのである。 一瞬、ズサンな仕事をしているなと思いかけたが、その客はすぐに気づいた。それが「明らかにゴミ」だというのは自分の論理。99パーセントそう見えてもゴミ箱に捨てられていない以上、ハウスキーパーは思い込みでは行動せず、あくまでも「床に置かれた客の私物」としてそのままの状態を保ったのだ。 ペットボトル1つにこの心配り。ホテルとはすごいものだと感心していたら、極めつけのエピソードがあった。帝国ホテルのルールというか習慣である。 このホテルでは、客がチェックアウトしたあとももう1日、その客室にあったものはすべて保管しているという。ゴミ箱の中のゴミにいたるまでである。 客がしばらくたってから、大事なメモをついうっかりゴミ箱に捨ててしまったことに気づいたという、確率としては限りなく発生し得ない事態に備えているのだ。驚くべき心配りという他ない。】
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ちょうどこれと同じような体験を最近僕もしたばかりだったのです。某高級ホテルに宿泊する機会があったのですが、飲み終わって空になったあとのペットボトルをテーブルの上に置いて出かけて、夜になって戻ってきたところ、部屋は確かに清掃されているにもかかわらず、ペットボトルはテーブルの上に置いたまま。「世界的に有名なホテルのはずなのに、ゴミも捨ててくれないなんて、なんだか気が利かないなあ」なんてちょっとがっかりしたのですけど、その対応はまさに「一流ホテルの流儀」だったのです。ゴミ箱の中の「お客がゴミだと明確な意思を示したもの」の他は、どんなにゴミのように見えるものでも従業員の判断で捨ててはならない、という。しかし、こういう「驚くべき心配り」に対して、「ちゃんと片付けとけよ」なんて怒ったりする人もけっこういるような気もしなくはありませんが。
さらに、帝国ホテルでは「すべての客室の部屋の中にあったものを(ゴミも含めて)1日は保存する」という話に至っては、「最上級の気配り」の凄さに驚愕してしまいます。ちなみに、帝国ホテルの客室数は1019室もあり、それぞれの部屋の中のものを「どこの部屋にあったものか」がわかるような形で保存しておくというのは、たった1日とはいえ、多大なスペースと手間を要するはずです。かかるコストに比べたら、なんと報われる機会の少ない「気配り」なのでしょう!
超高級ホテルというのは、建物や家具やアメニティグッズのような、目に見える豪華さだけが「サービス」ではないということなのですね。とはいえ、そういう「サービス」の分もしっかり宿泊料金に含まれているというのも、紛れもない事実ではあるのですけど。
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