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2006年06月28日(水)
楽屋への「残念な差し入れ」あれこれ

「週刊SPA!2006.6/20号」(扶桑社)の「松尾スズキ43才、いい大人の絵日記〜寝言サイズの断末魔・第250回」より。

【舞台をやっていると差し入れをよくもらうし、もちろん差し入れは、「オールよかれ」であるのを前提として言っているのだが、正直残念なのが、楽日(最終日)にいただく生ものの差し入れである。芝居の楽日というものは役者もスタッフも後片付けに追われバタバタとしており、ものを食ったりする暇がない。ないし、全員帰りの荷物が多いうえ、飲みに行ってしまうことが多いので、楽屋の片隅で、その生ものは、次第に生乾きのものへと変貌し、生乾きの生ものというものは、多かれ少なかれすでに食べものではなくなってしまっているのである。なので我々は、静かにその生乾きの差し入れに敬礼し「よくがんばって乾いたね。もう、乾かなくてもいいからね」と、追悼の意を表明するしかないのである。
 感謝はしております。ただ、私は花の咲かない差し入れを、これ以上増やしたくないのです。
 あと、何度も書きますが、時折ファンのみなさまから送られてくる手作りの詩集。いらんです! 読めんです! 私は牡蠣の次に他人の詩が苦手なのです。はっきり言って他人の詩を読んでしまった感触は限りなくホラーなのである。あと、叶恭子さんは「もらえるプレゼントで一番嬉しいのは茶封筒であございます(土地の権利書などが入っているから)」と、著書でのたまってらっしゃるが、私のところに個人名で送られてくる茶封筒には、必ず履歴書が入っているのです。いきなり送り付けられる履歴書、および志望動機欄に書かれた「根拠のない自信や、いきごみ」もまたホラーなのです。】

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 楽日というのは「舞台の最終日」ですから、おつかれさまの意味もこめて、かなり多くの人が、とっておきの差し入れをすることが多いのではないのでしょうか。役者やスタッフも疲れきっているから、この美味しいものでも食べて疲れを癒してください、なんて気を遣っている送り主の意図に反して、舞台というのは、「上演したら終わり」ではないんですよね。確かに、楽日が終わったら早々に後片付けをしなければならないし(会場のホールを翌日まで借りておけるような金銭的、時間的余裕がある公演はほとんどないようなので)、終わったら、楽屋でひっそりと差し入れを食べるよりは、外でパーッと打ち上げになるのは当然ですよね。でも、こういうのって、言われてみないと、「最終日だから、とっておきの差し入れをしよう!」なんて、漠然と思ってしまいがちです。
 それにしても、「手作りの詩集」なんていうのを、いくらファンとはいえ、「初対面の人」から送られるというのは、確かに気持ち悪そうです。たぶん送ってくる人も、松尾さんのことが大好きで、「ぜひ松尾さんに読んでもらいたい!」という熱意を持って送ってくるのでしょうけど、だからといってそれを読まされるほうとしてはたまりません。素人が書いた「詩」なんて、読んでいるほうが恥ずかしくなってしまいがちなものですが、とはいえ、受け取ったらすぐにゴミ箱にシュートしてしまうというのも、相手に悪気がないだけに、かなり後ろめたい行為のような気がしますし。
 やっぱり、差し入れというのは、「自分があげたいもの」よりも「貰う人の身になって」選ばなければいけませんよね。

 ちなみに、今回の公演中で楽屋を騒然とさせた差し入れナンバーワンは、「TENGAという会社から発売されているオナニーグッズ5セット」だったそうです。いや、差し入れするほうもされるほうも、なかなか一筋縄ではいかないみたいです。