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2006年02月19日(日) ■ |
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グルメリポーター・彦摩呂の苦悩 |
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日刊スポーツの記事「週刊テレビライフ」より。いまやグルメリポーター界の寵児となっている、彦摩呂さんへのインタビュー記事の一部です。
【インタビュアー:味の表現でポイントにしているのは
彦摩呂:僕が重視しているのは、テレビで伝えられない香りや食感。「肉の繊維がほろほろとほどけていきますわ」とか、食べて起こったことを五感で届けたい。
インタビュアー:すぐにコメントする瞬発力もすごいですね
彦摩呂:コメントにも鮮度があるんですよ。あ、またええこと言うた(笑い)。口に入れて長いこと時間が空くと言い訳みたいになってくる。でも、ベテランの俳優さんの中にはフッと笑うだけで伝えられる人もいますし、人それぞれですよね。食べた瞬間に「おいしい」なんて言うのはウソくさくて論外ですけど。
インタビュアー:私生活で、職業病は出ませんか
彦摩呂:出るー。2、3秒でコメントするクセがついているんで、女の子と食事に行っても「見てみ、この滑らかさ」とか言ってしまって「黙って食べてくれるー?」とか(笑い)。家でご飯作っても、ご飯、おかず、汁物を定食の集合写真のように並べてしまうし。普通に店に入ってもコックさんが調理場からのぞいてたり、外食もしづらくなった。
インタビュアー:うれしかった反響は
彦摩呂:街でご婦人から「彦摩呂ちゃんのレポートには体温があるから大好きよ」って言われたこと。
インタビュアー:ところで、16年で何キロ太りました
彦摩呂:20キロ!最近は怖くて体重計乗ってません。】
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いまや日本を代表する(というか、海外にもこういう仕事があるのかどうか僕は知らないんですが)グルメリポーターの1人である彦摩呂さん、イメージとしては、「タダでいろいろ美味しいものが食べられて羨ましい仕事だなあ」という感じなのですが、実際は、そんなに甘い世界ではないみたいです。 彦摩呂さんの話ではないのですが、「1日にフランス料理の店を7軒取材したときには、さすがに死ぬかと思った」なんていう話をされていたグルメリポーターの方もいらっしゃいましたし。グルメ番組の取材というのは予算がかけられていないためにかなりスケジュールがタイトで、「お腹が空いた状態で食べられる」というほうが珍しいくらいらしいのです。なんとも勿体無い話ではあるのですけど。 ちなみに、彦摩呂さんは【食べ物を扱う以上、最低限のマナーは大事にしているつもり。口にモノが入ったまましゃべったり、はしをちゃんと持てなかったり、真っ赤なマニキュアをしていたりというのはダメですよ】と、このインタビューの中で語っておられます。「食べるだけ」の仕事だからこそ、その「食べること」に対するこだわりもすごいのです。視聴者に「伝わる」ように、コメントでは観てわかるような外観よりも食感を大事にするとか、口に入れてからコメントするまでのタイミングとか、まさに「プロの技」ですよね。 しかし、ここまで食べることを仕事として認識してしまうと、逆に「食べる楽しみ」というのは彦摩呂さんにはあるのだろうか?と心配にもなってしまいます。少なくとも、プライベートでも「彦摩呂があんなものを食べている!」という視線を感じないわけにはいかないでしょうし。
そうそう、彦摩呂さんは、ポリシーとして常に「料理が悪者にならないように」と考えているそうですよ。唯一苦手なホヤ貝に対しても「お酒が好きな人にはたまらないでしょうね」というようにコメントしているのだとか。美味しくないと思ったものには、「おいしい」とは絶対に言わないということなので、ちょっと意地悪な観方をすれば、「美味しくないもの」に対して、彦摩呂さんがどういうコメントをするかというのも、ひとつの「見どころ」なのかもしれません。
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