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2006年02月02日(木)
武豊騎手が「大一番」に強い理由

「武豊×オリビエ・ペリエ〜勝つには理由(わけ)がある」(小学館文庫)より。

(人気・実力ともに当代随一の騎手である2人が、テーマに沿って自分の考えを語っていく本です。どうして「大一番」に強いのか?という質問に対する、武豊騎手の言葉)

【普通の人間は大舞台になればなるほど、迷いが生じてしまうものだろう。しかし、そういう舞台こそ、迷いは禁物だと、ユタカは言った。
「競馬だからね。い津どんなチャンスがくるかわからない。だからこそ、思いきって乗ることが大切だと思うんですよ」
 ここまで言うと、「でも」と逆説を話し始めた。
「競馬はいつどんなチャンスがくるかわからない。でも、これは、逆にいえば、チャンスを逃す可能性も同じくらいあるということですからね」
 つまり、何をすべきなのか。ユタカは言う。
「大きな舞台になってから慌ててもダメだと思うんです。未勝利戦とかの下級条件でも、できることは常にきっちりとやる。これが大切だと思うんです。常日頃からできることをきっちりやるという姿勢が、結局は大舞台で成果を出せるか否かにつながるのではないでしょうか」
 大舞台では普段以上に思いきりが必要。ただし、普段以上の思いきりを発揮するためには、普段の姿勢が大事。ユタカはそう言って頷いてみせた。】

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 緊張なんて言葉には縁がなさそうな武豊騎手。ときには何十億、何百億ものお金がかかったレースでも平常心で勝利を積み重ねていくというのは、考えてみれば凄いことですよね。その武豊騎手も、さすがにディープインパクトのダービーのときは「緊張した」そうなのですが。
 僕には、もちろん武さんほどの「大舞台」に立つ機会はありませんが、それでも人前で発表をするときなど、ものすごく緊張してしまって失敗ばかりしています。そして、終わったあと、「大舞台に弱い自分」を嘆いてばかりなのです。
 でも、この武豊さんの話を読んで感じたのは、結局、「大舞台だから緊張してダメ」なんて言うのは、言い訳でしかないのだな、ということでした。「大舞台だから」頑張るとか、リラックスするとか言う前に、「大舞台でない日常的なこと」からしっかりやることが大事なのです。そもそも、一瞬の判断力が問われるスポーツの世界よりも、僕が学会などでやってしまう「大舞台での失敗」の真の理由は、「本番で緊張してしまったから」ではなくて、「準備不足」が原因であることはるかに多いはずなのに。
 そういう「自分の日頃の努力不足」を棚上げして、「緊張してしまうからどうしてもダメだ」なんて言ってしまえば、ある意味ラクではありますし。

 たぶん、「練習のための練習」をいくら長時間やっても、「練習上手」になるだけで、けっして本番に強くはならないのだと思います。それよりも、時間は短くても「常に自分の全力を出していくこと、出せるようにトレーニングしていくこと」が必要なのですよね。
 まあ、競馬のG1レースとか、オリンピックのような「本当の大一番」には、やっぱり「プラスアルファ」が必要な気もするのですけど。