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2006年01月18日(水)
「ライブドア」という名の幻影

asahi.com の記事より。

【東京証券取引所は18日、ライブドアの強制捜査を発端に株式市場での売り注文が殺到し、株式の約定(取引成立)件数が異常に増加したことから、同日午後2時40分に東証1部、2部、マザーズ市場の全銘柄の取引を強制的に停止した。これ以上約定件数が膨らむと東証のシステムに負荷がかかり、株式の精算業務に支障が出る恐れがあることから、事前の停止措置をとった。株式市場では初の措置。

 東証の西室泰三社長兼会長は会見で「ライブドアの強制捜査開始が原因でろうばい売りが膨らみ、異常な取引になっているのは明らかだ」と述べた。現在の東証システムの約定件数の上限は450万件。午前の取引終了時点で232万件に達し、午後2時25分に約定件数が400万件程度となったため、15分後に全銘柄の取引を全面停止することを決めた。】

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 これを読んだときの僕の率直な感想は、不謹慎ながら、「ライブドアって、スゴイんだな…」でした。実際に今回の件で大損している方もたくさんいらっしゃるとは思うのですが。
 僕は株取引にかかわったことはないですし、ライブドアが強制捜査された理由も今ひとつ理解できないのですけど、このニュースにはかなり驚かされたのです。「東証」こと東京証券取引所といえば、日本経済の大動脈のはずなのに、その東証が、「ライブドア」という、ひとつの会社のスキャンダルによって、取引停止に追い込まれてしまった、ということに。
 僕のなかでの「ライブドア」といえば、なんといってもあの「ホリエモン」こと堀江社長と、秘書の乙部綾子さん、そして、プロ野球チームを買おうとしてことごとく横槍を入れられていたこと、そして、ライブドアブログのなかにいくつか見に行くものがあるくらいのもので、「所詮、ホリエモンの自意識垂れ流しのための会社なんだろ」と今まで思い込んでいたのです。IT企業というのはみんなそんなものかもしれませんが、「ライブドア」という企業が、何をやっていて、どうやって収益をあげているのかという、その「実体」が、全然掴めなくて。
 でも、こうして「ライブドア強制捜査」によって、東証が前面取引停止になってみると、今まで半ば「ネタ」として取り扱われることが多かったはずの「ライブドア」は、いつのまにか「日本経済に大きな影響を与える企業」になってしまっているのだ、ということを、あらためて思い知らされたのです。こんなことになってしまって、やっと「そんなに影響力があったのか…」なんて感じるのは経済事情に疎いからなのでしょうが、僕のイメージでは、ヒューザーのほうが、よっぽど「リアリティのある企業」だったのですよね。でも、そのヒューザーが偽装事件で社会的制裁を受けても、東証が取引停止になるなんてことはありませんでした。
 もちろん、そういう「株価に敏感で、しょっちゅう株を売り買いしている人たち」が、ライブドアのようなIT企業関連株を扱っている場合が多い、ということもあるのでしょうが、僕たちは、ホリエモンに支配されつつあることを知らないまま、自分ではホリエモンを笑っているつもりでいたのではないかと、ちょっと怖くなってきたのも事実です。「ライブドア」が、何かをやるための企業ではなくて、ただ、企業そのものが大きくなっていくことだけが目的の企業であるならば、なんだかそれってブラックホールみたいだな、とすら思えてくるのです。