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2005年08月11日(木) ■ |
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荒木飛呂彦さんがマンガ家になった「奇妙なキッカケ」 |
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ジャンプコミックス『ジョジョの奇妙な冒険・30巻』(集英社)の表紙の裏に書いてあった、作者・荒木飛呂彦さんのコメントより。
【〔子供のとき} 母親がカゼをひいたので、ぼくに「悪いけど、(近所の)お医者さんへ行って、お薬もらって来てちょうだい」とお使いを頼まれた。ぼくが待合室で待っていると、先生が出てきて――。 「さ!荒木君、そでまくって注射するから」 「え!ぼくじゃないよ!」 「うそだよ」 すごく恐ろしかった。でも、とてもおもしろいと思った。これがマンガ家になるキッカケだったと、今、思う。】
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これって、相手の子供によっては、トラウマになってしまうような「タチの悪い冗談」だと言えなくもないような気がします。そもそも、診察もしないで薬だけなんて感心できんなあ、とかも思うんですけど。 まあ、そういう話は抜きにして、あの「ジョジョの奇妙な冒険」の作者・荒木飛呂彦さんの【マンガ家になるキッカケ】が、こんな、どこにでもあるようなエピソードだったというのに僕はちょっと驚きました。この「冗談」を言った医者にとっては、たぶん一晩寝て起きたら忘れてしまっているような話のはずなのに。 でも、このエピソードの「言われのないトラブルが自分の身にふりかかってくる恐怖」と「そこから解放されるという『笑い』の要素を含んだ安心感」みたいなのって、確かに、荒木さんの一連の作品そのものなのではないかなあ、と僕は思ったのです。最近「ジョジョの奇妙な冒険」を読み返しているのですが、高校〜大学時代にリアルタイムで読んでいたときに比べて、今の僕には、この作品の中の作者の「遊び」というか、自分の作品自体を客観的に見ている視点を感じることができるようになってきました。 「恐ろしいことというのは、ユーモアの要素も併せ持っているのだ」 それに気がつくのが「才能」というものなのかな。 まあ、「笑えない恐怖」というのも、世の中にはたくさんあるのでしょうけど。
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