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2005年07月26日(火)
「不適切な幹部」を、撃て!

共同通信の記事より。

【札幌市の繁華街で北海道警の巡査(23)が追跡中の男に発砲、通行中の会社員男性(22)が流れ弾で重傷を負った事件で、道警幹部が男性に対し「巡査は頑張った」「(あなたは)運が良かったね」などと不適切な発言をしていたことが、26日分かった。
 道警監察官室は「けがを負わせた人に対する発言としては不適切で、男性に不快な思いをさせたとしたら申し訳ない」と話している。
 監察官室によると、発砲した巡査とその上司ら計3人が事件後に入院先の病院に男性を見舞い、事件の経緯などを説明した際、幹部の1人が発言した。この幹部は「部下(巡査)も死んでいたかもしれない。(あなたも)命にかかわるようなけがでなく良かった」とも話した。】


この事件の概要は次の通りです(毎日新聞)

【警官発砲:通りがかりの男性会社員にも当たり重傷 札幌
 13日午前1時20分ごろ、札幌市中央区南1西1の路上で、RV車を盗んだ後、走って逃げていた男を追跡していた道警機動捜査隊の男性巡査(23)がこの男ともみ合いになった。男は持っていた包丁(刃渡り18センチ)で巡査の腹部を刺した後、さらに逃走し、巡査は男に向け拳銃2発を発砲。約5、6メートルの距離から撃った2発目が男の左肩を貫通し、近くにいた同市北区の会社員(22)の右太ももに当たった。会社員は骨折し重傷。男も重傷を負った。巡査は軽いけが。巡査は男を殺人未遂の現行犯で逮捕した。
 逮捕されたのは住所・職業ともに不詳の容疑者(30)。札幌中央署の調べでは、午前0時50分ごろ、同区内のコンビニエンスストア駐車場でRV車を盗まれたと110番通報があり、捜索していた巡査らが同じRV車を見つけてパトカーで追跡。容疑者はRV車を乗り捨てて、走って逃げた。巡査もパトカーを降りてこれを追い、「包丁を捨てろ」などと数回警告したという。】

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 本当に、こういうときに、「デリカシーのない偉い人」というのは、害悪でしかないですよね。「とばっちり」を受けた人は「運が良かったね」とか言われても、「何だそれは!」という気持ちにしかならなくて当然です。たとえば医者の中にだって、「まだ内視鏡で治療ができるうちに癌がみつかって運がよかったね」なんて言う人がいるわけなのですが、本人にとっては、「癌になる」ということそのものは、やっぱり「不運」ですから。まあ、こういうのは「悪いようにばっかり考えていてもしょうがないから、前向きに考えましょう!」という意味合いもあるとは思うんですけど。
 でも、いくら事故とはいえ、撃った側の組織の人が、そんなふうに言うとうのは、あまりに無神経です。家族や友達に言われるんだったらともかく。
 ただ、僕はこの件に関しては、当事者である巡査に対しては、一市民として、「よくがんばってくれた」と思っています。刃物男をそのまま逃がしてしまったら、他のもっと大きな被害が出ていたかもしれないから。
 大局的にみれば「この巡査はよくやった」というのは、けっして間違いではないと思うのです。それを身内である警察の偉い人が、被害者に押し付けるのはあんまりですが。

 でも、正直なところ、こういう「誤射」って、あってはならないことだけれど、100%無くすことはできないことなんだろうなあ、とも思うのです。こういうのを無くすためには、警察官が拳銃を所持できないようにするべきなのでしょうが、そうした場合、凶悪犯の前に立たされる警察官の立場だったら、「かなり辛い」ことは間違いありません。まあ、こういうのって「核兵器の抑止効果」みたいなもので、統計としてみれば、本当に拳銃所持のメリットのほうが大きいのかどうかは、僕には明言できないのですけど。
 僕だったら、「運が良かった」は、さすがに警察の人から言われたら腹が立つと思いますが、【「部下(巡査)も死んでいたかもしれない。(あなたも)命にかかわるようなけがでなく良かった」】というのは、「不適切発言」と叩かれるほどの悪意は感じませんが。
 たぶん、当事者の巡査は撃ちたくて撃ったわけではないだろうし、会社員に対して、申し訳ないと思っているのではないでしょうか。にもかかわらず、こういう「自分が頭を下げたくない上司」のために、そういう下々の努力は、水の泡となっていくんですよね。大きな組織っていうのは、えてしてそういうもの。それで、矢面に立たされてイヤミとか言われるのは、常に前線にいる人、なんだからなあ…